フーコーの振子と
慣性振動



フランスの物理学者フーコーは、 1851年パリのパンテオン寺院の礼拝堂で 長さ67m、重さ28kg、周期約16秒という巨大な振子を使って、 地球が回転していることを人々に証明して見せた。 19世紀の当時、コペルニクスの地動説は一般の人々にも受け入れられていたが、 地球が回っていることを感覚的に理解することは非常に難しい。 この点でフーコーの実験は非常にわかりやすいものであった。

それから140年、現代は12時間もあれば地球の裏側にいける時代である。 しかしながら、 やはり普通の生活のなかで地球が回っていることを実感することはまずないし、 地球の回転を考慮してボールを投げるピッチャーもいない。 この原因の1つは、 我々の動作の時間スケールが地球の自転周期に比べて短いからである。

これに対して非常に長い時間スケールを持つ大気や海洋の現象にとって、 地球が回っていることは非常に大きな要素である。 もっとも、これは観測する座標系の問題で、 物理的に特別なことが起こるわけではないが、 回転座標系で物事を眺めるのと非回転座標系で眺めるのとでは、 イメージがまるで違うから不思議である。

フーコーの実験ももっと周期の長い振り子を使うと, ずいぶんイメージの異なったものになる. 現実問題として地球上でフーコーの振り子より 桁違いに大きな振り子で実験をするのは不可能であるが, 実験室の回転台の上なら, 振り子の周期を回転周期と同じオーダーに選ぶことができる.


実験装置

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