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火星表層における二酸化炭素の分配

高山 歌織(北大・地球惑星)
2002 年 8 月 27 日
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はじめに


問題意識
  • CO2総量の変動に注目.
  • 分配先と分配量は気候変動シナリオに影響する.


研究目的


CO2の分配先
  • 大気
  • 極冠
  • レゴリス: 隕石衝突などの力学的原因で形成された粒径の小さい表土. 成因に注目した呼び方. CO2を吸着する深さは 1 km 程度と考える.
平衡に達するまでの時間スケール
  • 大気-レゴリス間では 10,000 〜 100,000 年程度
  • 大気-極冠間は 1,000 年程度
  • その他の CO2量変動の時間スケールと比べ, 十分小さいか?


考える系と物理過程


モデル方程式 (Yokohata et al., 2002)
  • 時間発展方程式を陽にといて, 時間変化を計算する.
  • 時間変化が十分小さくなった時点で平衡に達したと判断する.
  • 実際の計算を行う際には, 熱容量を調節して計算を加速する.


CO2極冠サイズの決め方


CO2極冠の成長


CO2極冠サイズの止め方


CO2質量の見積もり方法: 大気と極冠


CO2質量の見積もり方法: レゴリス


計算結果
  • 極冠高度は最大 20 km !


計算結果
  • 基本的には大気と極冠に分配される.
  • CO2量の少ない場合, レゴリスに分配される割合が多くなる.


計算結果
  • CO2 量の多い状態から CO2 量を減少させた場合, VI → V → II → I の経路を辿る
  • CO2 量の少ない状態から CO2 量を増加させた場合, I → II → III → VI の経路を辿る.
    • 実際にそのような経路を辿るかどうかはわからない. 経路上の点を初期条件とした計算を行って確かめる必要がある. 図は平衡解をつないだものであることに注意.
    • 大気温度は緯度方向に連続であるが, 地表面温度は緯度方向に連続でなくてよい. 緯度方向にアルベドの飛びがある場合の 1 次元 EBM の解と同様に, 解の分岐の仕方に任意性が生じるので注意がいる (Lindzen, 1990 参照).


計算結果: パラメータ依存性


計算結果: 極冠に含まれる CO2 量を変えた場合


まとめ


参考文献
  • Toon et al., 1980: The Astronomikcal Theory of Climatic Change on Mars, Icarus, 44, 552-607
  • Lindzen, R. S., 1990: Dynamics in atmospheric physics, Cambridge.
  • Yokohata, T., M. Odaka and K. Kuramoto, 2002: Role of H2O and CO2 ices in Martian climate changes, Icarus, in press.


Odaka Masatsugu, Sasaki Youhei & Sugiyama Ko-ichiro 2002-08-27