2011/06/28 の dcmodel ネットミーティングのメモ書き
参加者
- 北大
- 石渡 正樹, 杉山 耕一郎, 山下 達也
- 神戸大
- 林 祥介, 高橋 芳幸, 西澤 誠也, 納多 哲史, 井谷 優花, 黒田 美紀, 山元 治人, 河合 佑太
- 九大
- 中島 健介
次回日程
- 日時
- 2010/07/05 (火) 14:00-18:00
- 場所
- 神戸大 : 自然科学 3 号館 508
- 神戸大 : ポートアイランド 3 階サロン
- 北大 : 理学部 8 号館コスモスタジオ
- 九大 : 理学部 3 号館 3605
deepconv への地球大気放射の導入 (高橋(芳))
はじめに
- deepconv に放射過程をいれたい
- 雲の放射効果とか, 雲の放射を考慮したうえでの放射対流平衡とか
これまでにやったこと
- 準備作業
- 非静力学モデルである deeoconv で用いることを念頭に, ラッパーを作成
- インターフェース
- dcpam と deepconv で下位モジュールの共通化
- 非静力学モデルである deeoconv で用いることを念頭に, ラッパーを作成
- 移植
- リスタートはできない
- 放射平衡計算の実施
放射モデル
- dcpam で用いている地球大気放射モデル
- CO_2, H_2O, O_3, 雲の吸収, 大気分子, 雲の散乱を考慮
- 詳細は省略
- 概要は「現在版 dcpam5 の概要」 のページを参照
移植作業概要
- 放射モデルコードをコピー, Makefile の作成・変更
- 配列の大きさの変数の use 文を変更
- "袖" の部分を無視し, 内部領域だけ渡すように
- 実行時間計測サブルーチンの呼び出し部をコメントアウト
- deepconv にはこのサブルーチンがないため
- 時間刻みの変数名を変更
- dcpam では "DelTime" だったが, deepconv の "DelTimeLong" に合わせた
- 太陽天頂角計算のサブルーチンの呼び出し部をコメントアウト
- 太陽天頂角は定数で与える
- deepconv では dc_calender モジュールを使っていないため
- O_3 分布を設定するモジュールを一部変更
- 4 次元データを読みこむモジュールをコメントアウト
- netcdf ファイルの属性を読み込む部分をコメントアウト
- deepconv では読み込みのためのルーチンがないため
- arare.f90 に放射関係の初期化処理を追加
- 放射サブルーチンを読み込む部分を追加, 引数となる変数を追加
おまけ
当初は, 配列の大きさは以下のように gridset モジュール内の変数を参照する予定だった
use gridset, only : & & imax -> nx, & & jmax -> ny, & & kmax -> nz
- しかし, そのソースを富士通コンパイラでコンパイルすると, コンパイルエラーが生じた
- PGI コンパイラではコンパイルできた
- gridset_rad というモジュールに imax, jmax, kmax という変数をもたせ, そのモジュールの imax, jmax, kmax を
use 文で指定することにした
- この方法なら富士通コンパイラでもコンパイルされる
移植作業は簡単か?
- ものすごく簡単な訳ではない
- 下位ルーチンや変数はそれなりに名前を合わせてあり, 変更箇所は少なくしてある
- 放射サブルーチンを call するところで, 引数として使う変数を計算するのが一番面倒
- deepconv と dcpam では, 物質の量の変数が違う(ex. 混合比と比湿)
放射平衡計算概要
- 大気組成
- CO_2 : 382 ppmv
- H_2O : arare_thermal-moist.conf で生成される分布
- O_3 : "Tropical"
- 雲 : なし
- 計算領域 : 0 - 20 km
- 地面・海面温度 : 300 K
- 惑星表面のアルベド : 0.1
結果 : 温度, 初期の加熱
- 初期温度分布に対する放射加熱率は予想内の結果
- 放射過程だけで 100 日間発展した後の温度分布もまずまず
まとめ
- deepconv に地球放射を導入した
- 移植にともなう作業量は減ってきているが, 放射コードに精通していないと 簡単ではないだろう
- 雲のない場合の放射計算を行った結果, 移植したモデルは一見しておかしいと思うような動作はしていない
- 今後は運動も含めた計算に取り組む予定
- 予定している手順 (計算が落ちた場合の対処のしやすさを考慮し, 段階的に行う)
- 放射伝達方程式を解かずに冷却率を与えた計算
- 気体の放射だけを考慮した計算
- 雲の放射を考慮した計算
- 放射計算を行う頻度の調整などは簡単ではないかもしれない
- 予定している手順 (計算が落ちた場合の対処のしやすさを考慮し, 段階的に行う)
懸案事項
- ドキュメント
- 引用論文を載せるだけで済ませてはどうか (高橋(芳))
- 論文を読めば必要な情報は揃っているし, 読まないと分からない
- 定式化, パラメータとも論文から引いている
- 論文を読めば必要な情報は揃っているし, 読まないと分からない
- 誰かが修論の付録に書くくらい量が多いのでは? (中島)
- コードと対応したドキュメントが欲しい (杉山)
- 引用論文を載せるだけで済ませてはどうか (高橋(芳))
- 加熱率を温位に直す計算
- 加熱率をエクスナー関数で割る際 基本場の値だけで割るべきなのかどうか
- deepconv と dcpam の変数のインターフェース
- 専用のサブルーチンが必要なのではないか (中島)
- 作業が落ち着いた段階で揃える (杉山)
dcpam への RAS 積雲パラメタリゼーション導入に向けた試み (高橋(芳))
はじめに
- 水のある惑星の大気循環において, 湿潤対流は非常に重要な役割りを果たすと想像される
- これまでは湿潤対流調節 (Manabe, 1965) を用いて, 積雲対流に伴う熱・水蒸気輸送を表現してきた
- AGCM には Kuo スキームも実装されていたようだが, dcpam には実装していない
- 湿潤対流調節では, 凝結物質量の鉛直分布を決められない (と思う)
- ここでは RAS の実装を試みることにした
- Moorthi and Suarez (1992) の改良版が後に提案されているが, 今回は当初提案されたスキームを実装中
RAS スキーム
- AS の亜種の一つ
- 実装の一形態, という言い方が最も適当であるように思う
なぜ RAS ?
- たまたま
- これまでに多くの積雲対流パラメタリゼーションが提案されているようだがどれが良いのかは分からない
- RAS 以外にも選択肢はあったが, 理解できそうであるため RAS スキームを選択
- 他のスキームを真面目に検討した訳ではない
- AS ではなく RAS を選択した理由は, AS に絶対的な優位性を感じなかったため
これまでにやったこと
- 一通り勉強した (つもり)
- コードを書いた
- 検証実験を行った
- Moorthi abd Suarez (1992) が行った以下の実験
- "semi-prognostic evaluation"
- 鉛直 1 次元での, 与えた強制 (放射加熱と大規模循環による移流) に対する 1 ステップの応答の評価
- そんなに悪くないように見える
- 一見すると論文と同じ絵が得られた
- 詳しく見ると違いがある
- "prognostic evaluation"
- 鉛直 1 次元での強制とパラメタリゼーションによる応答を用いた時間積分
- 上手くいっているとは言い難い
- 論文と同じ絵にならない
- "semi-prognostic evaluation"
- Moorthi abd Suarez (1992) が行った以下の実験
まとめ
- RAS スキームの実装を試みている
- "semi-prognostic evaluation" の結果は一見悪くないが, 詳しく見ると論文との違いもある "prognostic evaluation" は上手くいっているとは言い難い
- 今後の課題
- RAS スキームの中身の復習
- "prognostic evaluation" が上手くいかないのはコードが間違っているため?
- "prognostic evaluation" についての考察
- "prognostic evaluation" が上手くいかないのは実験設定を誤解しているから?
- RAS スキームの中身の復習
- GCM に導入してテスト
- RAS スキームの再検討
おまけ
semi-prognostic evaluation
- 概要
- 観測データに基づく強制を用いて, 観測データの初期値から時間積分.
- 用いられているデータ : GATE
- 得られた結果と観測データに基づいて計算された Q_1, Q_2 と比較
- 鉛直層数 : 9
- 観測データに基づく強制を用いて, 観測データの初期値から時間積分.
- 結果: 時間平均加熱率
- 観測結果との比較ではおおよそ合っている
- 分布は共通部分がある
- 絶対値は異なる
- 今回比較した観測結果と, 論文で比較対象にされている観測結果が異なる
- 論文で用いられている観測データが, GATE のデータのうちどれなのか分からない
- 論文に書かれていない (高橋(芳))
- 引用論文に載っているだろう (中島)
- 論文で用いられている観測データが, GATE のデータのうちどれなのか分からない
- 観測結果との比較ではおおよそ合っている
- 結果: 加熱率 (時系列)
- 観測結果と比較して, 応答するべき時期に応答していた
- 結果 : 乾燥率 (時系列)
- 観測結果と比較して, 悪くない
- まとめ
- 一見そんなに悪くない
- 定量的な違いはある
- この違いが, "prognostic evaluation" で上手くいかない原因があるのだろうか?
prognostic evaluation
- 概要
- 観測データに基づく強制に対するパラメタリゼーションの 1 ステップの応答を計算
- 得られた結果と観測データに基づいて計算された Q_1, Q_2 と比較
- 鉛直層数: 9
- 結果: 湿度
- 観測結果と合わない
- まとめ
- 上手くいっていないようだ
- コードが間違っている?
- 実験設定が間違っている?
- 要再検討
- 上手くいっていないようだ
懸案事項
- 本当に prognostic になっているか? (中島)
来週の議題
- 報告 (河合)
- 他..