初期値に対する気候の頑健さ, 特に南北対称性の調査(2009-09-10)

1. 概要
2. 実験環境
3. 実験設定
4. 結果一覧
5. 参考文献

概要

同期回転惑星, 地球の日平均年平均日射条件について, 初期値に対する気候の頑健さ, 特に南北対称性を調べた.

• 同期回転, 自転角速度が地球の 2/3 倍
• 同期回転, 自転角速度が地球の 4/5 倍
• 同期回転, 自転角速度が地球の 1 倍
• 日平均年平均日射, 自転角速度が地球の 1 倍

初期値は, 280 K の基本温度場に一様乱数で各格子点に 擾乱 (最大 0.1 度) を与えたものである. 実験ごとに乱数の種を変えてある.

結果の概要は以下のようになった.

• 同期回転, 自転角速度が地球の 2/3 倍
  • 初期値によらず南北非対称
• 同期回転, 自転角速度が地球の 4/5 倍
  • 初期値によって南北対称になったり非対称になったりする
• 同期回転, 自転角速度が地球の 1 倍
  • 初期値によらず南北対称
• 日平均年平均日射, 自転角速度が地球の 1 倍
  • 初期値によらず南北対称

実験環境

• 計算機名: fermat
  • システム: PC
    • /proc/cpuinfo の model name: Intel(R) Core(TM)2 Duo CPU E6750 @ 2.66GHz
    • OS: GNU Debian Linux 5.0
    • uname -a: Linux fermat 2.6.26-2-686-bigmem #1 SMP Fri Mar 13 18:52:29 UTC 2009 i686 GNU/Linux
  • コンパイラ: Intel(R) Fortran Compiler for applications running on IA-32, Version 10.1 Build 20080312 Package ID: l_fc_p_10.1.015
  • 依存するライブラリとバージョン
    • netCDF ver. 4.0
    • gtool5 ver. 20090324
    • ISPACK ver. 0.71
    • spmodel ver. 0.5.0

実験設定

• プログラム: dcpam5 ver. 20090405
  • ソースは各実験ページを参照
• 初期値
  • 東西風速: 15 × cos(φ) [m s-1]. (φ: 緯度)
  • 地表面気圧: 1.0e+5 [Pa].
  • 温度の基本場: 280 [K] に微小擾乱を与えた.
  • 比湿: 1e-10
• 計算領域
  • 水平(λ,φ): 全球 (λ=[0, 360], φ=[-90, 90])
  • 鉛直(σ=p/p0): 大気下端〜上端 (σ = [0, 1])
• 境界条件
  • 水平(λ,φ) : 周期境界条件
  • 鉛直(σ) : dσ/dt = 0 (σ = 0, 1)
• 数値解法
  • 水平(λ,φ) : スペクトル法 (球面調和関数展開・三角形切断)
  • 鉛直(σ) : 差分法 (Arakawa and Suarez, 1983)
  • 時間(t) : リープフロッグスキーム.
    • ただし重力波の項にはセミインプリシット法を用いる. 時間フィルター (Asselin, 1972). を用いる. フィルター係数は 0.05
• 空間解像度
  • 経度格子点数 : 64 (5.6 度)
  • 緯度格子点数 : 32 (5.6 度)
  • 鉛直層数 : 16
• 最大波数: 21
• 積分時間: 2000 日
  • 最後の 1000 日を時間平均を伴う解析に使用
• 時間間隔: 8 分
• 惑星半径: 6.371e+6 [m]
• 自転角速度: 7.272e-5 [s-1]
• 重力加速度: 9.8 [m/s^2]
• 乾燥大気定圧比熱: 1004.6 [J K^-1 kg^-1]
• 乾燥大気平均分子量: 28.964e-3 [kg mol-1]
• 乾燥大気気体定数: 287.04 [J K^-1 kg^-1]
• 最大波数に対する e-folding time: 3.0 [hours]
• 超粘性の次数: 8
• 力学過程
  • プリミティブ方程式系
• 物理過程
  • 積雲パラメタリゼーション: 湿潤対流調節 (Manabe et al., 1965)
  • 大規模凝結
  • 放射
    • 太陽定数: 1380 W m-2
    • 大気アルベド: 0
    • 短波放射: なし
    • 長波放射: 1 バンド
  • 地表面
    • 地表アルベド: 0
    • 熱容量: 0

結果一覧

• 同期回転, 自転角速度が地球の 2/3 倍
  • 000 001 002 003
  • \Omega=2/3, run 003 についての追加資料
• 同期回転, 自転角速度が地球の 4/5 倍
  • 000 001 002 003 004 005 006 007 008 009
• 同期回転, 自転角速度が地球の 1 倍
  • 000 001 002 003
• 地球の日平均年平均日射, 自転角速度が地球の 1 倍
  • 000 001 002 003

参考文献

• Arakawa, A., Suarez, M.J., 1983: Vertical differencing of the primitive equations in sigma coordinates., Mon. Wea. Rev., 111, 34-45.
• Asselin, R., 1972: Frequency Filter for Time Integrations, Mon. Wea. Rev., 100, 487-490.
• Manabe, S., Smagorinsky, J., and Strickler, R. F., 1965: Simulated climatology of a general circulation model with a hydrologic cycle. Mon. Weather Rev., 93, 769-798.

dcmodel Development Group / GFD Dennou Staff
Last Updated: 2009/10/15, Since: 2009/10/15