放射MTGメモ(2012/09/03)
参加者
- はしもとじょーじ、高橋康人、大西将徳
Nakajima et al. 1992の再現(大西)
- 成層圏の放射平衡の計算にてオーバーシュートを起こさないプログラムの検討
- 現状の計算結果に見られる温度のギザギザ(対流圏界面の上に見られ、グリッドごとに温度の大小が現れる)は、単なるオーバーシュートではないように見える
- 現状のアルゴリズムではこのような解で収束してしまう
- 解決のために以下の2つの計算を試みた
- 1. グリッド上ではなく、層の温度を変えるプログラムの検討
- 温度の変化の与え方
- dT(k)/dt = (m * g) * (FluxConv.(k)+FluxConv.(k-1))/(Cp * (p(k+1)-p(k-1)))
- T(k=2〜ktp-1) = T(k) + dT(k), k=ktpは対流圏界面
- T(k=1) はこれまでと同様の考え方で温度を上昇(k=1〜2の層のFluxConvergenceから温度上昇)
- 計算結果
- これまでと同じようなギザギザが現れる
- 2つの層のFluxConvergenceからその間のグリッドの温度を上昇させるという簡易的なアイデアではうまくいかない
- 温度の変化の与え方
- 2. FluxConvergenceが上下に正負(or 負正)となっているときには温度を変えないというアルゴリズム
- 計算の初期温度
- 1. 湿潤断熱減率を仮定した温度
- 2. 対流圏界面の水蒸気混合比で飽和した温度
- 計算結果(1. 湿潤断熱減率を仮定した温度)
- ある高度まではうまく温度が計算されるが、ある高度より上空では温度が上昇しない
- "ある高度"より上空は初期のFluxConvergenceが、(極めて小さな値だが)負であった。これまでのアルゴリズムでは下層の温度が上昇することにより、やがてFluxConvergenceの値が大きくなり、結果的に温度が上昇していたが、今回のアルゴリズムでは初期にFluxConvergenceが負であったグリッドは、値が正にならず、温度が上がらない
- 温度上昇が止まってしまう層の光学的厚さは、10^-17程度(地表温度: 300[K], 水蒸気吸収係数: 0.01[m^2/kg])。計算の精度の問題という可能性はないか(倍精度で計算している)
- 下の層の温度が上昇しているのにFluxConvergenceが正に転じないことについては、より詳しくデータを見る必要あり
- ある高度まではうまく温度が計算されるが、ある高度より上空では温度が上昇しない
- 計算結果(2. 対流圏界面の水蒸気混合比で飽和した温度)
- 上空までほぼうまく計算されている
- ギザギザ(温度が上空に向かって逆転する構造)は、2か所に見られた
- 1. 圏界面直上
- 温度が上空の方が大きいのは一か所のみ
- 上空の温度が上昇しているので、こうなるのはリーズナブル
- 2. 上空のグリッド
- これまでの計算では計算が進むにつれてギザギザは収束に向かったが、今回のアルゴリズムではFluxConvergenceが正負(or 負正)となっているグリッドの温度を変化させないため、多少ギザギザが残ってしまう
- FluxConvergenceが上下に正負の時は温度を変化させないが、負正の時には温度を変化させる、などの工夫をしてもよいかもしれない
- 1. 圏界面直上
- 計算の初期温度
- 1. グリッド上ではなく、層の温度を変えるプログラムの検討
- 現状の計算結果に見られる温度のギザギザ(対流圏界面の上に見られ、グリッドごとに温度の大小が現れる)は、単なるオーバーシュートではないように見える
- To Do
- FluxConvergenceが上下に正負となっているときに温度上昇に制限を加えるというアルゴリズム(温度の初期値は圏界面水蒸気混合比を仮定)で、圏界面を動かして収束させるプログラムを検討する
- 温度上昇が止まってしまうことについて、さらに検討する
次回の日程
- 次回はフロンティアセミナー会場にて、適当な時間に行う
- 9/17(月・祝)は祝日のため、次々回の日程は、次回ミーティング時に日程調整を行う