付録D     CloudB の導出

質量380#380をもつ雲粒がまわりの大気の拡散によって成長する過程を考える. 拡散による雲粒の成長は

381#381     (D.1)

で表される. 382#382は雲粒の中心からの距離, 81#81は大気の分子拡散係数である. 大気の状態は定常かつ等方であると仮定してこの式を382#382について解くと
383#383     (D.2)

となる. ただし, 境界条件として384#384 385#385, 386#386 387#387を用いた. ここで理想気体の状態方程式 388#388を代入すると
389#389     (D.3)

となる. この式の両辺を 390#390で割ると
391#391 30#30 392#392  
  30#30 393#393 (D.4)

となる. ただし, 最後の変形には 394#394を用いた.

凝結が起きた時潜熱が解放される. この潜熱が熱伝導によって輸送されると仮定すると

395#395     (D.5)

が成り立つ. ここで168#168は大気の熱拡散係数である. 大気密度の拡散方程式と同様にこの式を解くと
396#396     (D.6)

となる. ただし, 境界条件として384#384 397#397, 386#386 398#398を用いた. ここでクラウジウス-クラペイロンの式
399#399      

を積分すると
400#400 30#30 401#401  
  402#402 403#403 (D.7)

となる. よって
404#404 30#30 405#405  
  402#402 406#406  
  402#402 407#407 (D.8)

となる. 最後の変形には式潜熱の時間変化を用いた.

式雲粒質量の時間変化, 飽和蒸気圧比の式より

408#408 30#30 409#409 (D.9)

となる. この式を整理すると
410#410     (D.10)

となる. ここで
411#411 30#30 412#412  
162#162 30#30 413#413  
164#164 30#30 414#414  

とおくと
415#415     (D.11)

となる. 416#416, 159#159はそれぞれ質量輸送, 熱輸送に関係する係数である. 160#160は飽和比である.

単位体積当たりの雲粒の個数を417#417とし, 雲粒の大きさが全て同じであると仮定 すれば単位体積当たりの凝結量72#72

418#418     (D.12)

で与えられる. 火星極冠周縁での温度・圧力条件を想定すると, 419#419 である. 従って
420#420     (D.13)

となる.

Yamashita Tatsuya 2012-09-11