凝結物の扱いに関する解説
deepconv/arare5 では複数凝結物を扱えるよう設計しているが, その扱いは少々面倒です. 本文書では凝結物の内部的扱いや, 凝結物を追加する方法を説明します.
凝結物の設定
設定ファイル (Namelist) に凝結成分の名前とモル比を指定します.
&composition_nml SpcWetSymbol(1) = 'H2O-g' , !湿潤成分 SpcWetSymbol(2) = 'NH3-g' , !湿潤成分 SpcWetSymbol(3) = 'H2S-g' , !湿潤成分 SpcWetSymbol(4) = 'H2O-s-Cloud' , !湿潤成分 SpcWetSymbol(5) = 'H2O-s-Rain' , !湿潤成分 SpcWetSymbol(6) = 'NH4SH-s-Cloud', !湿潤成分 SpcWetSymbol(7) = 'NH4SH-s-Rain' , !湿潤成分 SpcWetMolFr(1) = 1.0d-3 , !湿潤成分の存在度 SpcWetMolFr(2) = 4.0d-4 , !湿潤成分の存在度 SpcWetMolFr(3) = 6.0d-5 , !湿潤成分の存在度 /
指定可能な凝結物名は src/chem/chemdata.f90 で定義されている. 雲と雨は "-Cloud" と "-Rain" によって区別する.
凝結物に関する変数・配列
src/setup/composition.f90 で, 凝結物関連の配列の初期化を行っている.
1) src/chem/chemdata.f90 を参照し, それぞれの凝結物の ID を調べる.
SpcSymbol: SpcID: H2O-g, 5 NH3-g, 8 H2S-g, 10 H2O-l-Cloud, 7 H2O-l-Rain, 7 NH4SH-s-Cloud, 11 NH4SH-s-Rain 11
2) 各カテゴリーに含まれる物質の数を決める. do ループを回す回数に利用する.
気体: GasNum = 3 凝結物(雲): CloudNum = 2 凝結物(雨): RainNum = 2
3) 各カテゴリーの配列添え字を決める. 気体だけに操作したい場合等々で利用する.
IdxG = 1, 2, 3, 0, 0, 0, ... IdxC = 4, 6, 0, 0, 0, 0, ... IdxR = 5, 7, 0, 0, 0, 0, ...
4) 凝結(Condensation)を生じる物質の数と, それらの配列添え字を決める. 上記の例では H2O の凝結のみが生じる. CondNum は do ループを回す回数として利用する.
CondNum = 1 IdxCG = 1, 0, 0, 0, 0, 0, ... IdxCC = 4, 0, 0, 0, 0, 0, ... IdxCR = 5, 0, 0, 0, 0, 0, ...
飽和蒸気圧を計算する場合には, 以下のように指定している.
do i = 1, CondNum n = IdxCC(i) ! n => 4 ( i => 1 ) call xyz_SvapPress( SpcID(n), xyz_Temp ) ! SpcID => 7 end
5) NH4SH の生成反応に関与する物質の配列添え字
IdxNH3 = 2 IdxH2S = 3 IdxNH4SHc = 6 IdxNH4SHr = 7
凝結物のデータの追加方法
src/chemdata/chemdata.f90 にデータを追加します.
1) 凝結物名を ChemData_SpcSymbol に追加します. 命名則は, "化学種名-相" です. 配列添字が物質に対する ID となります.
ChemData_SpcSymbol = (/ & & "N2-g ", & !#01 & "H2-g ", & !#02 & "He-g ", & !#03 & "He-g ", & !#04 & "H2O-g ", & !#05 & "H2O-l ", & !#06 & "H2O-s ", & !#07 & "NH3-g ", & !#08 & "NH3-s ", & !#09 & "H2S-g ", & !#10 & "NH4SH-s", & !#11 & "CO2-g ", & !#12 & "CO2-s ", & !#13 & "CH4-g ", & !#14 & "CH4-l ", & !#15 & "CH4-s " & !#16 & /)
2-1) 気相に対して必ず与える必要のある物性値
- 相 ('Gas' => 気相, 'Liq' => 液相, 'Sol' => 固相)
- 分子量
- 分子を構成する元素とその個数
- [option] 基準状態のエントロピー
- [option] 基準状態のエンタルピー
- [option] 比熱の観測値 (温度依存性)
エントロピー, エンタルピー, 比熱の温度依存性は deepconv/arare5 の数値計 算では使っていないが, 物性値のチェックのために与えている.
2-2) 液相・固相に対して必ず与える必要のある物性値
- 相 ('Gas' => 気相, 'Liq' => 液相, 'Sol' => 固相)
- 分子量
- 分子を構成する元素とその個数
- 飽和蒸気圧の式 (Antoine の式) の係数
- [option] 飽和蒸気圧の観測値 (温度依存性)
飽和蒸気圧の観測値は, 与えた飽和蒸気圧の式のチェックのために用いている.
$Id: condense.rd,v 1.1 2014/03/01 20:11:22 sugiyama Exp $