研究してたこと、してること、したいこと

はしもとじょーじ
Last Updated on 15 Apr., 2000.



4.大気と地殻の化学相互作用による大気組成・大気量のコントロール
  [阿部助教授(東大・理)・佐々木助教授(東大・理)との共同研究]

 従来、金星大気の二酸化炭素量は惑星表面の炭酸塩との化学平衡(CaCO3 + SiO2 = CaSiO3 + CO2)によって一定の量に保たれているとする考えが一般に受け入れられていた.しかし大気量の変化はその温室効果によって地表温度を変化させ、化学平衡も変化させる.そこで我々は大気の温室効果と大気・固体惑星の間の化学反応を同時に考慮して、化学反応によって大気量がどのようにコントロールされるかを調べた.その結果、従来考えられていたのとは逆に、金星における大気中の二酸化炭素と惑星表層の炭酸塩の化学反応は大気量を一定量に保つのではなく大気量の変動を大きくすることが明らかとなった.また金星表層に大量の炭酸塩がある状態は、不安定であることも明らかとなった.この条件から現在の金星が安定な状態にあるとしたら、金星表層にはごくわずかな炭酸塩しか存在しないことになる.

Hashimoto, G.L., Y. Abe, and S. Sasaki (1997) CO2 amount on Venus constrained by a criterion of topographic-greenhouse instability, Geophys. Res. Lett., 24, 289-292. Link



George L. HASHIMOTO