地球流体セミナー

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: 3/22 第二部 (16:50 - : KIROKU-oku : 話題提供者

3/22 第一部 (13:30 - 16:35) 『イントロダクション』(小高)


   ● 火星の極冠	

		北半球 CO2 + H2O
		南半球 CO2 

		年間通して存在する. 

   ● 惑星パラメータ (地球の値)

	基本的な物理量

		惑星半径(km)		3400 (6400)
		重力加速度(m/ss)	3.72 (9.8)
		自転角速度(rad/s)	7.08e-4 (7.29e-4)
		惑星アルベド		0.24 (0.3)
   
	気象学的パラメータ

		平均地表気圧(hPa)	6 (1013)
		大気主成分		C02 (N2,O2)

	特徴的な物理量 (Zurek et al.(1992))
		
		放射平衡温度(K)		210 (255)
		放射緩和時間(day)	〜2 (>20)
		スケールハイト(km)	10.8 (7.5)	※1 
		浮力振動数 N (1/s)	0.6e-2 (1.1e-2) ※2
		ロスビー変形半径 L(km)	920 (1150)	※3

		※1 H = RT/g = 200 x 190 / 3 = 4 x 10^4 / 3 〜 10^4m
					     = 10 km

		※2 N^2 = g/ \bar{theta}・ d \bar{theta}/ dz
			      
		※3 L = NH/f = c/f 

		    ロスビーの変形半径って何? (復習してみよう)

			1. 回転を感じるスケール

			2. スケールアナリシスを行ってやると, 
			   出てくるスケール

			3. 回転系でコリオリ力と圧力傾度力がバランスし
			   た定常状態で, 始めに与えた水面差(擾乱)が変
			   形を受けるスケールである.

			   変形を受けている部分の回転放物面の傾きより
			   は緩くなる. 外から見ると(静止系からみると)
			   変形を受けている部分の角速度は周囲の角速度
			   よりも小さくなっている. 回転系からみると, 
			   中央の変形を受けている部分は, 周囲と逆回転
			   しているように見える. 

   ● 火星と地球の軌道

	- 火星の軌道の方が地球の軌道よりも楕円である. 

	- 火星の北半球の夏って何? 地球だったら 6,7,8月だよね.  
	  どうして夏至をはさんでないの ?

	- なぜか, 北半球の夏至から北半球の秋分までを夏と伝統的に
	  定義してしまっているようだ. 

	- Ls と SOL の対応表ないかな...		

   ● 過去の探査衛星
   
	- リモートセンシング: 地形, 気温, 水蒸気, ダスト, 極冠

		    マリナー 9
		    バイキング 1, 2
		    マーズグローバルサーベイヤ 	      

	- 直接観測: 表土, 気温, 気圧, 風光, 風速

		    バイキング 1, 2
		    マーズパスファインダ
		    マーズポーラーランダー (失敗)		      

   ● 観測事実

	- 大きな高低差 (大きな火山)

	- 海(液体の水)が無い(昔はあった)

	- 火星の固有磁場は無い. 残留磁場はあるようだ. 反転もしていたら
          しい.   

	- 南北半球間の非対称

	  南半球のほうが北半球にくらべ平均的に高い (〜3.8km)
	  
	  地質学的に見て北半球の方が南半球よりも相対的に新しい. 
	  ちなみに, 一番古い所はクレータのいっぱいあるところと考えられ
	  ている. 

	  クレータの判別は, 重力場を計ってみるといいらしい. 最近では重
	  力場の計測から新たにクレータが見付かったようだ. 

  	- 気温

	  リモートセンシングによる子午面分布
	  着陸船による一点観測
	  複数の波長で特徴的な高さがあるので, ある程度鉛直分布もわかる. 

	- 地表気圧, 風

	  温度風で求める(地面を 0 として計算)
	  着陸船による一点観測
	  季節変化大 (5〜9hPa)
	  極冠が現れているときには, 気圧は下がる. 
	  (北半球の冬至の時が一番気圧高い. 北半球の気圧低下よりも南半
	  球の気圧上昇が卓越しているため.) 
	  パスファインダの気象のデータはまだちゃんとは公開されていない. 

	  年変動値のギザギザの部分って何?

		-> 潮夕波(一日と半日)と傾圧波によるものだと考えられている.     
		-> ダストストームの起こっている時にはそちらが上記よりも卓越. 

	- ダスト

	  可視光に対する光学的厚さ (τ=0.3〜1.5) 
	  ダストストーム
	  
	- 極冠

	  両極に見られる氷のかたまり
		北極冠は CO2 と H2O
		南極冠は CO2 

	  極冠の厚さはレーザを用いて詳細に調べられている. 	

   ● まとめ

	気象データは ...

		あると言えばある	
		少ない一点観測と子午面分布

	気象に重要な点

		地表気圧の季節変化大 (5-9hPa, CO2 凝結のため)
		気温の緯度変化大 (220-150K, 海が無いため) 
		気温の日変化大 (180-270K)  	
		ダストによる放射加熱 (ダストストーム時の温度構造に影響)
		     
	火星の気象でこれがわかると嬉しいって何?

		やはりダストストーム. 
		地球での対応する現象はグローバルには無いだろう. 
		黄砂とかの現象に何らかの示唆は与えられるかも. 
		大気の量が少ないので, ちょっとしたダストの加熱でもグロー
		バルに影響される. 
		ところが, 過去未来の地球, 火星という気候学的な観点から
		みると, 必ずしもダストストームは加熱だけに効くかどうか
		は不明である. 

		地球で巻上がらないダストがなぜ火星では巻上がるのか. 
		地球のほうが火星よりも大気は重いのに. 普通の説明では, 
		地球の大気は火星よりも静的安定度が高いので, 巻上がらな
		い. だけどよく分かってないよね, というお話し. 
		とかなんとか.



okuyama naonori 平成12年3月29日