カーリング C 級指導員養成講習会: 前期日程分


目次

  • カーリングの特性と基本技法
  • カーリング協会の歴史と概論
  • カーリングの組織と運営
  • カーリング協議の特性に応じたトレーニング法
  • 指導計画の立案
  • 対象に応じた指導内容と指導技術
  • カーリング競技におけるメンタルトレーニング
  • カーリングの基礎技術 1
  • カーリング競技における安全対策
  • カーリングの講義規則と審判法 1
これに加えて
  • 各地の消防本部が主催する「普通救命講習会」を受講すること. 2 月までに修了証を佐藤氏に郵送する.
  • NHK 学園通信教育を受講すること.


カーリングの特性と基本技法

カーリングの用具説明
  • スライダー
  • ブラシ, ブルーム
  • 手袋
  • 衣服
アイスとストーンの説明
  • アイスシートの準備方法
  • ペブルの役割
    • ストーンとアイスの接触面積を減らすため
  • お湯の方が早く凍る (熱伝導に関するフーリエの法則)

  • ストーン各部の説明
    • ランニングエッジ, ハンドル,
  • ストーンの手入れ
    • ランニングエッジの摩耗を防ぐような保存方法を考える
ゲームの進行, 目標, エチケット, 基本ルールについての説明
  • カーリングにふさわしい服装・靴を用意する.
  • アイスシートでの飲食・喫煙の禁止.
  • 試合前後での握手
  • 先攻後攻の決め方 (コイントス, じゃんけん)
  • 投球順序, ポジションの説明
  • ゲーム進行中の待機場所
  • 各ラインの説明

  • ゲームの目標, スコア決定・掲示方法
  • ストーンの測定方法
  • エンド終了時のストーン移動
  • 次エンドの先攻後攻の決め方, ゲーム時間
  • スイーパーの位置, スイープのルール
    • ランニングエッジの幅
    • ティーラインを越えた場合
    • ストーンに接触した場合
デリバリー
  • デリバリーの考え方
  • キーポイントの理解
  • ドリルの説明
  • デモンストレーション
デリバリーの考え方
  • 全体のイメージ
  • 各部の説明
    • ハックにおける位置 (スタンス)
    • ヒップエレベーション
    • フォワードスライディング中の動作
    • 上半身の姿勢
    • スライディングフットの位置
    • グリップの説明 (指で握る, 手の位置, ターン, フォロースルー)
スイープ
  • スウィープの効果
  • スウィープのルール
  • キーポイント
  • ストローク, フットワーク
作戦
  • ドロー, ヒット
  • 攻撃的な作戦と守備的な作戦
  • チーム内のコミュニケーション


カーリング協会の歴史と概論, 組織と運営

地域スポーツ指導員制度
  • 現場指導者のレベルの均質化を図るための制度.
  • プロフェッショナルコーチを養成する「技術向上指導員制度」と 2 人 3 脚.
  • 将来両者は統合される可能性あり.
1981 北海道カーリング協会設立
  • 20 市町協会の連合体 (現在は 23)
  • 各市町協会はチーム, 個人から構成される.
日本カーリング協会
  • ブロック制 (北海道, 東北, 関東, 中部, 西日本)
    • 東北: 青森, 岩手, 宮城, 秋田, 山形, 福島
    • 関東: 栃木, 千葉, 東京, 神奈川, 群馬
    • 中部: 長野, 愛知, 新潟
    • 西日本: 京都, 岡山, 福岡, 熊本
  • 25 都道府県以上の県協会ができると国体種目となる可能性
PCA (パシフィックカーリング連盟)
  • 日本, オーストラリア, ニュージーランド, 韓国, 台湾
  • 中国, 香港, シンガポールが加盟予定
WCF (世界カーリング連盟) 36 ヶ国

日本カーリング協会の運営

  • 理事会 (評議員会)
  • 4 つの委員会(総務, 指導普及, 競技, 強化)
  • 各加盟協会


カーリング協議の特性に応じたトレーニング法

カーリング競技に必要な要素
  • 体力
  • 技術
  • 心理
  • 作戦
  • チームワーク
競技者のレベルによってそれぞれの占める相対的重要性は変化する.

体力面: 必要なのは筋力, 持久力, 柔軟性

  • 筋力 [デリバリー, スウィープに必要]: 筋力トレーニング
  • 持久力 [長時間のゲーム, スウィープに必要]: 有酸素運動
  • 柔軟性 [ デリバリーに必要]: ストレッチ
運動のピラミッド
  • 無酸素運動 (瞬発的運動) は筋力, 有酸素運動能力に支えられる.
    • 無酸素運動: スウィーピングドリル, インターバルトレーニング
    • 筋力: チューブ, ダンベル, アイソメトリック
    • 有酸素運動: ジョギング, 競歩, 自転車, エアロビクス
  • 最大心拍数の 60% を維持する運動を 20 分続けると有酸素運動.
    • 最大心拍数は 220 - 年齢 で計算される.
技術面
  • デリバリー
    • バランス, タイミング, デリバリーの方向, リリースが必要
    • 筋力, 持久力, 回復力, 柔軟性
    • 筋力トレーニング, エアロビクス, ストレッチ
  • スウィーピング
    • 強さ, 速さ, アイスの読み, コミュニケーションが必要
    • 筋力, 持久力, 回復力, 判断力
    • 筋力トレーニング, エアロビクス, 無酸素運動, 敏捷性
  • 筋力トレーニング 3 日, エアロビクス 3 日に対し, 1 日は休みを入れる. 4 週間で 1 サイクル
心理面
  • 冷静さ, 前向き, 協調性, 図太さ, 繊細さが必要.
  • 試合経験, 他のスポーツ, 読書, コーチからの指導, メンタルトレーニング
作戦
  • 記憶力, 経験, 判断力, 勇気, 現実性が必要.
  • VTR, 試合経験, 第 3 者からの指導, 講習会
チームワーク
  • 試合経験, アトラクションの参加
コーチの役割
  • 選手を選ぶ
  • 目標設定
  • 年間計画設定
  • 練習プランを立て, 実行する
  • チームの作戦を立てる
  • 技術の分析

指導計画の立案 (佐藤)

スポーツ教室
  • 企画 (意図, 目的) がある.
  • それがプログラム化されている.
  • 単発ではなく継続されている. 2 時間 x 5 〜 10 回
    • 単発の場合は「講習」とよぶ.
  • 一定の教育的配慮.
  • 個々の目標達成に貢献している.

対象に応じた指導内容と指導技術

確認事項
  • 参加者の年齢層
  • 参加者の技術レベル
  • クリニックの長さ
  • セッション数
  • 練習場所, 日数
  • ホンスピール, 試合, 移動
  • 道具 (ブラシなど), 教えるために必要な補助道具
  • 保険, 緊急対策
  • ローカルルール
  • プログラム
  • 教材
  • 救急箱
  • スタッフの打合せ
全ての年齢に共通する注意事項
  • カーリングを楽しむ
  • ルールブックに書かれていないルール, マナー
  • フェアプレーの精神, スポーツマンシップ
  • 前向きの姿勢を大事にする
  • 褒める
  • 正しいコミュニケーション
  • ウォームアップ, クールダウン
  • いい印象
  • 命令ではなく提案の形で支援
  • テーマを絞って
  • 試合, VTR の鑑賞
  • 用具, 施設の整備
  • 技術を試してみる機会
  • ボランティア活動
子供の場合 (小学生以下)
  • 練習内容は短く, 多く (すぐに飽きるから)
  • カーリングに興味を持たせる
  • 他の人と一緒に, 集団で
  • 骨の発達段階にあるので, 体に負荷のかかる動作はさせない.
  • 被暗示性
  • 社会化, グループで
  • 調整力, 自分で思ったことができない場合がある.
  • 冒険, 成功体験をさせる.
  • 運動負荷, 運動時間に注意する.
小学生
  • サークルとしてのカーリング, 自由に, 勝負にこだわらない
  • 理論よりも肌で感じてもらえるように教える
  • 心身の発達に開きがあることに注意
  • よい手本となるよう言動に注意する
中学生
  • 細かいことに拘らない
  • 自尊心を尊重する
  • 理論的に
  • 夜は早めに終了する
高校生
  • グループとしての行動規範を考える
  • より理論的に
  • 親和関係を重視する
  • 考える機会を与えるように, 教えすぎない
大学生
  • 学生リーグ
  • 自分で立案, 実践させしめる
  • 更に深いところまで
  • カーリングの動機
成人
  • 自分で立案, 実践させしめる
  • 更に深いところまで
  • 理論を自分で理解
  • カーリングをする目的に違いがあることを尊重
  • 運動能力の個人差を尊重
  • レクリエーションとしてのカーリング, 楽しむ
高齢者
  • 見るスポーツとしてのカーリング
  • 共通の趣味としてのカーリング
  • 運動能力の個人差を尊重
  • リンクに来られる環境作り
  • 生きがい


カーリング競技におけるメンタルトレーニング

近藤さんのオリンピックにおける経験
  • 練習の最後にスキップがスウィーパーつきで 4 foot にドローする. できるまで練習を続ける.
  • 練習日記をつける. 注意を受けた点, そのときの自分の精神状態を記述する.
  • 失敗したときに言われたくないこと, 言ってもらいたいことをチーム内 であらかじめ話し合う.
  • 自分のマイナス面をプラスに解釈する.
  • 練習を試合のように, 試合を練習のように. 練習時に追い込まれた状況を考える.


カーリングの基礎技術 1

デリバリー練習の流れ
  • 第一段階: ハックから前方へのスライディング (ストーンなし)
  • 第二段階: バックスィングからの一連の動作のチェック (ストーンなし・あり)
  • 第三段階: デリバリー動作全体 (ストーンあり)
スタンス (ハックに入った姿勢)
  • ショット成功率の 80% はスタンスで決まる. 重要!
  • けり足 (ハックフット) と滑べり足 (スライディングフット)に位置
  • ひざ, 腰, ももの位置
  • ストーンを持つ腕, ブラシを持つ腕のチェック
いろいろな知識
  • フラットデリバリーはタックデリバリーに比べ膝の負担が少ない
  • スライディングフットの爪先を進行方向に外向きにするのは, 体重より低くすることができるので, デリバリー中の姿勢が安定する.
  • デリバリーの指導で最も重要なのは? スタンス
  • スローイングアームの肘を少し曲げておいた方がよいのは? リリース時の姿勢が安定化する.
  • バックスイング時にスライディングフットを横ではなく後ろにするのは? スタンスを崩さないよう(体のドリフトを防ぐ)
  • 重心が低い程デリバリーはよいか? NO. リリース時のストーンコントロールが難しい.
  • フォワードスイング時のスライデングフット動きは早いほうがよい? ゆっくり動かす方がよい? ゆっくり滑べる.
  • ストーンの回転はドローで 2 〜 2.5 回転
  • リリース時に手を握手の形にするのは, ターン具合の確認になるため.
  • リリースの理想的な地点はハウスから 1 m 外からホッグラインまで.


カーリング競技における安全対策

  • 怪我を防止するプログラム
  • 正しいウォームアップの方法
  • 子供に特有の怪我について
怪我を防止するプログラム
  • カーリング中の怪我は, 自分で起こすもの, 他の人によって起こ すもの, 場所によって起こすもの がある.
  • スライディング, スウィーピング中の転倒
怪我の防止策
  • 参加者の健康状態
    • 担当医師, 家族, 友人, 学校関係者からの情報
    • 過去の疾病, 怪我についての情報
  • カーリングに必要な体力 (筋力, 持久力, 柔軟性) をつける
  • 怪我は小さなうちにすぐ処置する. 応急処置方法を学んでおく.
  • 安全な用具を使う, 用具の扱い方・手入れ方法を学ぶ, 適切な用具に ついての知識 用具の調達先についての情報
  • 起こりえる問題をあらかじめ考えておく.
  • 試合では審判の強力を請う, 審判にも応急処置方法を理解してもらう.
  • 他の指導者に援助してもらう. 冷静で乱暴を許さない指導者を呼ぶ. 他の指導者と安全に関する情報を交換する.
  • 怪我をした人をすぐにアイスに戻さない. 怪我をした人が平常の運動 能力を回復し, 精神的に落ち着いたかどうか確認する.
  • どのような怪我が起きたかを記録する.
ウォームアップ
  • 深部の筋肉, 間接部をあたためる
  • 物理的精神的にこれからはじめる運動の準備をさせる
子供の場合
  • スポーツに参加するプラス面を協調, 怪我からは守ってあげる


最終更新日: 2001/11/19 小高 正嗣
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