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研究: 地球惑星科学とは? | ||||
◆ 理学とは?
地球惑星科学は理学と呼ばれる学問分野に分類されます. 理学とは, 我々人類をとりまく自然界のかたち・なりたちを追及する学問です. それに携わる学者・研究者の目標は, 自然界の様々な現象と存在物の秘密を解き明かし, その知識とそれを知る喜びを他の人々を共有することであると言えます. 日本では理系と文系, 理学と工学との切り分けが非常にはっきりとなされています. 工学が近代産業と密接な関係を持つことと対比して, 理学は「役に立たない学問である」と呼称されることがままあります. しかし, 自然界のかたち・なりたちを知ることで知的好奇心を満足する人々に対しては, 理学(自然科学)は音楽や芸術のように日々の生活を豊かなものとするための糧として認知されることでしょう. 「人はパンのみて生きるにあらず」であるかぎり, 理学とそれに携わる者の使命はけっして失われることはないのです. ◆ 地球惑星科学とは?地球惑星科学は一言でいうと, 「我々の住む地球はなぜ地球なのか?」 を探求する学問です. この疑問は古代ギリシャの自然哲学者が発した「自然は何であるか?」 という問いに通じるものです. 同じ理学に属する物理, 化学が自然現象からそれを支配する基本法則を抽出することを目指しているのに対し, 地球惑星科学は我々の住む現実世界でそれらの基本法則がどのように結合しその結果 何が起こっているのかを調べることにその特徴があります. 「地球惑星科学は自然界の森羅万象を扱う学問である」と言っても過言ではありません.
地球惑星科学における研究対象は我々をとりまく自然現象全てであるため, 基盤となる知識と用いる手法は物理, 化学, 生物, 地学, さらには工学に及ぶ幅広い分野にまたがって存在します. したがって地球惑星科学の推進には個々の事象に対するこだわり (愛着) と同時に, それにとらわれない幅広い視野を持つことが必要となります. 個々の事象に対する注意深い分析とそれらの統合を繰り返すことによって, 我々の地球観, 世界観を構築することが可能となるのです. 近年, 地球以外の惑星, 太陽系外の惑星に対する研究も活発に行われるようになりました. これらの研究は純粋な科学的興味と高度な観測技術によって支えられています しかし, その学問的意義は「我々の地球のよりよい理解のため」に尽きます. 地球とは似ても似つかない他の惑星, 天体の存在を知ることにより, 地球が地球であることの不思議さを様々な視点から考察できるようになるからです. |
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最終更新日:
2002/04/25 小高 正嗣 Copyright © 2002- ODAKA Masatsugu |