この章ではまず使用するために動作環境とインストール方法に触れ, Debian Linux 環境で ECMWF/ERA40 再解析データを用いた GAVE の具体的な使用例を挙げる.
GAVE は現在, 以下の環境で動作が確認されている.
RPM や Debian パッケージが用意されているのでそれを利用すれば簡単にインストールできるはずである. ここでは例として Debian Linux に Debian パッケージを用いてインストールする方法を示す. その他のインストール方法は電脳 Ruby プロジェクのインストールページに書いてあるためここでは触れない.
以下のパッケージをインストールすると GAVE が使用できる.
今回の例では以下3つのファイルを用いている. これらファイルは ECMWF/ERA40 再解析データから 2001年8月の降雨量、気温、東西風の日単位のデータを入手し、それを更に GPhys を用いて月平均したデータである.
データ | ファイル名 | 主変数 | 従属変数 |
---|---|---|---|
2001年8月の降雨量 | TP_2001-08_ERA40.nc | tp | longitude, latitude |
2001年8月の気温 | T_2001-08_ERA40.nc | t | longitude, latitude, levelist |
2001年8月の東西風 | U_2001-08_ERA40.nc | u | longitude, latitude, levelist |
Xウィンドウが起動している状態でコンソールから
$ gaveとして起動すると, GAVE が図14のように起動する.
$ gave filename.ncとする.
等値線図の描画例として, ERA40再解析データより
2001年8月の気温を可視化する.
ここで使うファイルは気温のデータで次元変数として
緯度(longitude), 経度(latitude), 気圧(levelist)の3変数
を持っている.
描画する対象の変数を選択する.
例では t しかないのでそれが選択されている.
次に動作に等値線(Contour)を選択する.
そして軸にとる次元変数を選択する.
例ではデフォルトの longitude と latitude が選択されている.
描画(Draw)ボタンをクリックすると等値線図が描画される.
ビューポートの内部をドラッグすることで表示位置を変更することができる.
ビューポートの枠(軸)をドラッグすることでサイズが変更できる.
ただし現在のバージョンでは文字も含めた描画範囲は正方形の領域しかとることが
できない仕様になっている.
X軸とY軸にとる次元変数を選択しなおす.
X軸にlatitude, Y軸にlevelsを選択した.
描画ボタンをクリックして, 描画を開始するると次のようになる.
描画の表示位置とサイズは変更している.
latitudeとlevelistは軸として使われているが,
残ったlonitudeは現在, デフォルトの東経0度が使われている.
そこで東経140度の図を描きたい場合は次元ウィンドウで設定する.
描画してみる.
図の右側に「longitude 140 degrees_east」という文字列があることがわかる.
図のタイトルを変更することができる.
これを描画すると次のようになる.
軸に付属する文字列 (タイトルと単位) を変更することができる. これは軸ウィンドウで行う.
これを描画すると次のようになる.
しかし, あまり的確な修正ではなかったので, 図26ではまたもとに戻している.
軸ウィンドウの対数チェックボタンをチェックすると 対数軸をとることが可能である.
例ではlevelist(気圧)のY軸を対数でとり片対数グラフにした. 次のようになる.
軸ウィンドウの最小値と最大値を設定することで 描画の範囲をしていすることができる. 描画範囲を逆に設定することで上下, 左右反転させる こともできる.
例では上下を反転させている.
1000mbが図の下して見やすくした.
等値線とトーンの間隔は自動で設定されるが
手動で設定することもできる.
等値線間隔およびトーン間隔ウィンドウの手動・自動を
切り替えて最小値と間隔を設定することで手動で設定が可能である.
最小値と間隔は変数tの範囲を考えて適当に設定してする.
何度か繰り返し設定しなおすことが必要になる.
動作選択メニューから等値線の代わりに折れ線を選択すれば
あとは等値線と同様に折れ線図を描くことができる.
地図投影法は4種類用意されている.
使用する投影法を地図投影ウィンドウから選択し,
メインウィンドウの動作選択メニューから「地図投影(Map)」を選択する.
他の手順は等値線図を描く場合と同じである.
それぞれの投影法で描画してみる.
各変数が持つ情報を表示する. メインウィンドウのメニューバーから属性ウィンドウを選択し表示させる. これでデータが持つ属性を表示する.
例をみると, 変数tは単位 K, longname が Temperature であり
スケールファクタとオフセットが図のように設定されていて,
次元変数に longitude, latitude, levelist をもっていることがわかる.
大域属性はファイルの出所などファイルそのものに関する属性である.
データに対して数値演算する.
演算対象となる変数を選択し, 動作選択メニューから演算方法を選ぶ.
選択できる演算方法(関数)は現在4種類用意されている.
解析方法を選択すると実行ボタンがその解析用の実行ボタンに変わる.
解析に使用する次元変数を選択して, その実行ボタンをクリックする.
すると演算されたデータが変数欄に新しくできる.
新しくできた変数も同じように描画することができる. 新しい変数を図27と同様の設定で描画した.