(講演者:川上氏)
<イントロダクション>
地球史データーベース
・ 例1:各地のクレーター情報のデータベース(写真やサイズ、組成、年代、文献などをのせている)。
・ 例2:ストロマトライトのデータベース。太古代ストロマトライトの分布図や詳細データ、文献、写真等。
@ ストロマトライトって何?→縞があるだけでストロマトライトと言う地質学者もいる。多くは形態から話をしているが、シアノバクテリアが介在しているかどうかわからない。
地球史7大事件つまみ食いポイント講座
・ 第1事件:地球誕生(46億年前)
・ 第2事件:最古の岩石(40億年前)
これ以降の岩石が地核に残されるようになった。ところで、岩石は残らないが、鉱物では存在している(ジルコン)、42―43億年までのものが、オーストラリア・ジャックヒルで見つかった。ジルコンに含まれる酸素同位体の情報(酸素同位対比が高い)から水循環があったと言われている(こんな昔に海があった?)。冥王代
・ 第3事件:地球磁場の形成(27億年前)
@ 最古の生命:
1. フィラメント状の微化石が深海熱水噴出口から見つかった。
2. 同位対比から生命活動を類推。炭素に注目。生命起源は無機起源と比べて、マイナスにシフトする→生命起源だろう。
A ストロマトライト:
定義は様々。堆積岩を研究する人は縞状のものを呼ぶ。微生物をやっている人は、「生命活動によって作られた岩石」。
1. 堆積物としての記載:潮流速度等で形状によってことなる。
(ア) 化石としての記載:生命として扱う。時代によって違う。
2. ここでは、シアノバクテリア起源を扱う。
B 酸素の歴史:
1. 酸素がどうのように増加してきたか?仮説がたくさんある。→仮説スタジアム。
2. 地球凍結と酸素の増加に関連がある?→メタンから酸素へ。メタンの減少によって低温下。
・ 第4事件:超大陸出現(19億年前)
@ 真核生物の出現
1. 核が包まれる。
2. ミトコンドリアとかとの共生。
A 硫黄同位対比
1. 32Sと34Sの同位対比の変化。硫酸還元バクテリアによる硫酸の還元過程での同位体変化。→岩石中の同位対比変化をしらべると、10億年前から一定値→硫酸バクテリアがこの辺から出現。
2. 最古の蒸発岩中の硫酸鉱物の硫黄同位対比
3. 硫黄同位対比は最初、ある一定値をとっていた(0‰)。しかし、原生代以降ばらつきが大きくなる(23億年前から)。これは硫酸還元バクテリアの作用。23億年間以前にこのバクテリアは存在していた。しかし、硫酸は少なかった。ところが、23億年頃に、酸素が増えて、還元環境→酸化適環境になった。それまでに細々と存在していた硫酸還元バクテリアが、増えた硫酸を還元した。これがこの時代に同位対比変化を起こっている原因。
・ 第5事件:超大陸分裂と生命爆発事件
1. カンブリア
・ 第6事件:絶滅事件と陸上上陸
1. カンブリア紀型動物(三葉虫)の衰退
2. 陸上上陸
3. 古生代型動物の衰退の衰退
4. 現代型動物群の発展
5. 原因K−T;天体衝突
6. P−T:顕生代の最大絶滅。様々な仮説。酸欠?寒冷or温暖?微量元素中毒?海水塩分濃度変化?地球外天体衝突説?
・ 第7事件:人類の誕生
(講演者:山本氏)
細胞生物
・ 原核生物:ゲノムを持つ
@ 細菌(バクテリア)
A 古細菌
・ 真核生物:ゲノムが核に包まれている。小器官を持つ。
@ 菌類:カビ、キノコ
A 原生動物
・ ウイルス:遺伝子は持つが細胞を持たない
@ 感染性粒子
・ プリオン(生物ではない):遺伝子を持たない、感染性タンパク質
@ 狂牛病
バクテリア
・ バクテリアの標準サイズ=ミクロン。最大は0.7@。
・ バクテリアの構造:
@ 外側に頑丈な壁を持つ。細胞壁の厚さが異なるものがある。
グラム
1. positive(一枚で厚いもの(ペプチドグリシン)でカバー
2. negative(内側は薄いが、その外側に別のものでカバー)
A 染色体(ハウスキーピング遺伝子を持つ)と別の小さな染色体(プラスミド)を持つ。二つ含めて遺伝子という。
・ アメーバ(原生動物)
餌の取り方の違い:真核生物は、固形物を取り組める(捕食行動)。それから酵素を使って、消化していく。こういったことは原核動物はできない。
・ 繊毛をもつもの
ここまでくると進化している。口に相当する場所がでてくる。
・ 細胞から見た系統樹。
祖先バクテリア→古細菌の(祖先?)中にミトコンドリアなどのバクテリアが進入。共生進化していった。→真核生物
・ 細胞成分の化学分析に使える成分(Biomarker Analysis)
@ 細胞膜成分(脂肪酸、ステロイド):使われる理由→。分解されにくい&たくさんある。古環境のものを知るには良い。
A 呼吸鎖キノン:動いている機能にはよい。今そこで活動しているものだけを認識するのに良い。
・ 生物進化系統樹(全ての生き物が持つ16SrRNAを用いた系統樹)
今生きている生き物で決めたもの。だからルートは便宜上書いているだけであることに注意。
・ 16SrRNAは、機能を持っている。リボゾーム内に存在。
この中で配列の違いを比較→配列の違い=系統の歴史・進化の長さを反映している。系統の近縁生を知ることができる。
・ 生物の分類体系:
@ 分類群:ピラミッドの各階層の分け方。領域、界、門、綱、目、科、属(この辺までは怪しい)、種(DNAで分ける)
A 株:種を構成する中での性質を分けたもの。生物型、毒素型、抗原型、血清型
突然変異の話
・ 中立的分子進化論:機能、形態の変異まで影響うんぬんを問わず、アミノ酸配列の変異全てをいう。我々に見えない進化もok。
・ ダーウィン自然選択説:機能、形態の変化→環境条件への適応性に影響
・ バクテリアの遺伝子獲得:遺伝子引き渡し(プラスミドを介在させる)。
確実に機能する遺伝子を引き渡す。これによる、突然変異。例えば、薬耐性に関する遺伝子を周りに引き渡す。→この違い「株」で区別。
生態系から見た生物基本構造→物質循環で考える
・ 食物連鎖(古典的経路):見える部分。光合成生物→草食→肉食
・ 微生物ループ:溶剤有機物(アミノ酸、糖類など)とウイルス、原生動物、細菌などの物質循環。無機物と化学合成細菌。
(講演者:山本氏)
アイソレーション
・ 熱水生息バクテリア(硫黄芝)
日本、アイスランド、イエローストーン、太平洋中央海嶺などに生息→これらについて16S rRNA系統樹を書いてみると
→イエローストーンは一つのグループを作る。中央海嶺も一つのグループ。アイスランドと日本は同じになる。大陸条件を考慮すると説明できる?
・ 生きる環境が限定されている→アイソレーション(場所、場所で独自の進化を遂げる)が起こっている。通常はオーストリアみたいに孤島の場合にアイソレーションが起こる(有袋生物のように)。つまり、生息環境が限定されるものにも、アイソレーションが起こる。
・ キノン:バイオマーカー6種類。
共生
・ 液体クロマトグラフ(HPLC)の結果で、キノン8(Q−8)のピークが共生細菌起源
・ シロユリ貝のエラの部分やはおり虫の体内に微生物が共生している。
・ 共生も進化の一つの選択肢
・ 硫化水素かメタンからエネルギーを得るバクテリアを使って栄養素を貰っているorバクテリア自身を消化している。
共生進化
・ ミトコンドリアと葉緑体
・ 光合成をする真正細菌:クロロフレクサス、へリオバクテリア、紅色光合成細菌
・ 反応中心での過程
@ 紅色細菌(パープルバクテリア):光があたると、電子を取り出して、キノンを介して、別に渡す。硫化水素を酸化。
A 緑色細菌(グリーンバクテリア);光があたると、電子を取り出して、キノンを介して、鉄イオンクラスターに渡す。還元エネルギーに使う。
・ ポイント
@ 光合成:光エネルギーを生体エネルギーにする、ということがポイント。
A 酸素をつくるには一人(紅色細菌、緑色細菌)では十分なエネルギー収集を出来なかった。
B それを組み合わせたら(遺伝情報をどこかで伝達した)高いエネルギーを得られるようになった。それがシアノバクテリア(27億年前)。
・ ロドプシン
プロトンポンプ(ナトリウムの濃度差を利用したポンプ)で動く物質。これを利用したバクテリアも存在する(光エネルギーが全てではないのだ)。
・ クロロフレクサス(好熱性光合成細菌)
酸素を発生しない光合成を行う。
・ カルビンーベンソンサイクルとTCAの逆サイクル
@ TCAの逆サイクル:この時代には使える有機物がなかった。だから、炭酸ガスを取り組んでから、糖を出す。そのエネルギーは硫化水素や光合成。
A カルビンーベンソンサイクル:糖に炭酸ガス
進化系統図
化学合成から有機物を作成→有機物がたまる→嫌気性有機物分解生物の発生→好熱性光合成細菌→光合成細菌→シアノバクテリア登場。
ミトコンドリア
・ 細胞内で、酸素を取り込んでエネルギーと二酸化炭素と水を出す。
・ ハイドロジェノソームとミトコンドリアの違い:水素を出すかどうか。
・ リケッチア:ミトコンドリアの先祖
・ シントロフィーとオルガネラ:
・ ミトコンドリアは母側からつながっていく。
何故温泉から生命が始まったのか?
・ 温泉:一番原始的な姿にちかい。温度が高く、硫化水素に富む→光熱性原核生物、化学合成無機栄養生物が存在。
生態系の移り変わり
・ 初期地球生態系:水素、硫化水素、鉄、二酸化炭素→化学合成原核生物、ウイルス(?)
・ 光合成以降の地球生態系(複数の生物間の物質のやりとり):水素、硫化水素、鉄、二酸化炭素→化学合成原核生物⇔原核生物、有機物分解、光合成⇔ウイルス
・ 真核生物以降の地球生態系:複数生物のやりとり過程に、捕食過程が入る。
・ 現在の地球生態系:光合成→草食動物→肉食動物&微生物ワールド
陸に上がったときにも共生があった:微生物(黴)があったから上がれた?
(講演者:川上氏)
シアノバクテリア
・ 緑色硫黄細菌と紅色細菌が合体して、シアノバクテリア(酸素発生)。それがある細胞内に入って葉緑体になる。
・ シアノバクテリア→ストロマトライトによる活動の形跡。しかし、6億年前より後では、情報が消えてしまう(他の生命活動によって消されてしまう)。
・ 25億年前の酸素―二酸化炭素転換点。
石を調べよう!
・ どこの石を調べるか?
@ 太古代の石:グリーンランドのイスア地方、シベリア、カナダ、アメリカ、等からでる。
A 原生代の石:アフリカ、オーストラリア、南米、北アメリカ、等々。
B しかし、生命との関連をしらべるには、熱変成を受けていないところが良い。→イスア地方、ピルバラ(オーストラリア)、カナダの辺とかはグッド
・ イスア地方から
@ 海水中のマグマ岩石→昔海にあったということがわかっている。
A イスアの石(石の年代は38億年前起源)から生命の痕跡を探そう。
B アパタイト粒子にグラファイトが入っている。これをつかって炭素同位体を計ると→シアノバクテリアであれば、−30くらいになる→38億年前の生物起源の証拠?
C Δ13C―40くらいのものは何か?メタン?
35億年前には西オーストラリア、ピルバラ:グリーンストーンベルト:太古代地域の石がある。玄武岩風化→緑色になる。沈み込みたいの上に堆積岩の集積していく。それが蓄積したもの。後から花崗岩があがってきて混ざる。その中に最古のストロマトライトが見つかった?←しかし、これはバイオ起源なのか疑問。たんに盛り上がってドーム状になっただけではないか?
・ フォーテスキュー
@ シアノバクテリアが付着していたようにみえる鉱物構造がストロマトライト物体の表面にある→信頼できる最古のバイオ起源と同定出来るストロマトライトが、27億年前のものがオーストラリア、シャーク湾のフォーテスキュー層で見つかった。
A 27億年前にシアノバクテリアがいるかもしれないが、岩にストロマトライトを残せるほど活動が盛んになったのは27億年前ではないだろうか?
何故ストロマトライトは、縞々になるか?
・ 一日一枚できる。昼間、光を求めて上に移動して、沈殿物をトラップ→夜は横にバイオマットを成長させ、沈殿物を確保。これの繰り返し。
・ ストロマトライトにもいろいろ(生命起源、on not)があるから注意。
縞状鉄鉱床:沈殿鉄とシリカの層
・ 地層年代vs 鉄鉱床の鉄の量
海水中の二酸化鉄が酸化されて沈殿→酸素量に対応
@ イスア地方38億年前にちょっと鉄が多い。
A 25億年くらいに鉄たくさんある。
B 10億年前にもちょっと増えている。
・ この鉄量変動と、氷河期に相関がありそうだ。
酸素が増える→メタンが減少→温室効果ガスが減少→冷える→氷河期。
・ 硫黄同位対比
いろんな硫化物中の硫黄の同位対比(いろんなマイナー成分33S,34S,36Sも扱う)を20億年前以降は、質量依存の同位対比になっている。しかし、それ以前は質量依存ではなく、光化学反応などで硫黄粒子になって、分別過程を受けている。
・ 縞状磁鉄鉱の原因は?
@ 生命起源?:光合成→水を水素、酸素に分解→二酸化鉄を酸化→磁鉄鉱
A 鉄以外にカルシウム、マンガンやシリカなども鉄の周期に対応して、鉱床に存在する。→生命起源だけでは説明できない。
B タイプによってシアノバクテリアが介在したものもあれば、よくわからないものもいろいろある。
C 23億年前に、マンガン鉱床が増え(マンガンが溶けている海水が、酸素とくっついて貯まっていった)、スペリオル型層状鉄鉱床(鉄がくっついた)が増えた(ともに、酸素増加と関連)。
(講演者:亀田氏)
グリーンランドの氷コアの酸素同位対比
・ 酸素18の時間変動がコアからわかった。
@ 夏と冬で変動。
A 16万年前までの二酸化炭素濃度と気候変動(重水素変動)に関連がある。
・ 氷の電気伝導度の調査。イオン量に関係する。年変動を見る。
・ 氷の下部に存在する、再凍結氷(氷板)という。この厚さは表面に存在した水の量による。それは気温の関数→温度の情報(ただし、相対的変動)が得られる。