森羅万象学校 2001

光合成生物への進化

山本 啓之, 川上 伸一
2001 年 9 月 12 日
表紙


複数の貝類に対する染色物質の分布
  • H2S かメタンハイドレードが利用できる環境で生息する貝について.


液体クロマトグラフィーの結果
共生細菌によるピークが現れる.
  • シロウリガイ, ヒバリガイからはエラからのみ検出.
  • ハオリムシは全身から検出される. 消化機能をバクテリアに完全に異存.


貝に共生するバクテリアの系統樹
  • シロウリガイは親か子へ渡す
  • ヒバリガイ, ハオリムシは周囲の環境から取り込む


共生進化の模式図


地球生命の進化時計


光合成に関する遺伝子による系統樹


光合成反応中心の進化
  • クロロフレクサス(緑色硫黄細菌)とクロロビュウム (紅色細菌がそれぞれもっていた光合成反応中心が, シアノバクテリア内で 1 つの反応中心に合体した.
  • クロロフレクサスとクロロビュウムが持っていた反応中心では, エネルギーの低い電子しか利用できない.


光合成細菌の系統樹上での位置
  • シアノバクテリア内の反応中心が真核生物の葉緑体へ進化する.


光合成反応中心の拡大図
  • 反応中心の周囲に集光装置のようなアンテナタンパク質がある.


光合成時に用いる光の波長
  • 紅色細菌は長波長の光を用いている.


ロドプシン: 光エネルギーを生体エネルギーに変換する物質
クロロフィル(葉緑体)とはことなる変換物質


系統樹: CO2 固定サイクル
  • CO2 固定サイクルはカルビン-ベンソンサイクル(普通の植物の炭素固 定サイクル)だけではない
  • 逆 TCA サイクルは -COOH 基に CO2 をつなげるサイクル (動物の有機物分解の逆サイクル)


バクテリアの進化と地球史との関係


ミトコンドリアの取り込み


いろいろミトコンドリアの遺伝子の長さ
  • ミトコンドリアは母親から遺伝される


ミトコンドリアの系統樹上の場所
  • バクテリアからみると比較的新しい位置にある


バイオマットの分布
  • イエローストーン
  • 日本
  • アイスランド
  • オーストラリア・ニュージーランド(未確認)


イオウシバの系統樹上の分布
環境に非常に影響されるため, 生息地域である程度分類できる.
  • 大西洋中央海嶺
    • 15,000 万年前に形成
  • イエローストーン
    • 5,000 万年前に形成
  • アイスランドと日本
    • 日本列島形成は 1,500 万年前
図中分岐点の数字は検定確率を表す.
横方向の枝の長さは「世代交替時間」の相対的長さ. 絶対時間ではない. 世代交替時間が異なる場合, 長さの比較は意味を持たない.


イオウシバの写真


染色物質として用いるキノンの化学式


温泉バイオマット
なぜ温泉に注目するか?
  • 海底の熱水噴出孔では, 多細胞生物がすでに進出している.
  • 好熱性細菌は噴出孔のごく付近にしか存在しない.
  • 温泉の方が原始的環境を観察しやすい.
  • 温泉バイオマットのある場所には細菌しか存在しない.
温泉バイオマットは温度によって種類が異なる.


生物のいる温泉(熱水)分布
  • 赤は化石の証拠


熱水系の模式図


熱水系の断面 (1)


熱水系の断面 (2)
  • 熱水は海水が循環することで供給される
  • 熱水中の鉱物成分は循環路のある海底岩石の成分を反映


岩石の分類


海底のバクテリア深度分布


海底サンプリング


OD21 の模式図


生態系の進化 (1)
  • 化学合成生物だけが存在する時の生物生産量はあまり多くない
  • 光合成を獲得することで生物生産量は急増する


生態系の進化 (2)


微生物の化石 (1)


微生物の化石 (2)


太古代の生態系の模式図


カビの化石
  • 植物が上陸した時代の化石
  • 植物の根に付着 (共生) していた
  • 植物はカビを根に付けて, ともに上陸したと考えられている



Odaka Masatsugu 2001-09-11