第 9 回森羅万象学校

第 9 回森羅万象学校 First Announcement

  今回は,数理科学の手法と独自の観点から、生命の特質について記述す
るモデル構築の試みについて、郡司ペギオ幸夫氏と春名太一氏に話題提供
いただきます。今回も初歩から説き起こした解説をお願いしていますので、
各方面からのご参加、それぞれの興味と背景からの自由活発な質疑討論を
お待ちしています。
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                        第 9 回 森羅万象学校
                       「生命の新しいとらえ方」

                        (First Announcement)

             開催日:2009 年 3 月 4 日(水) - 3 月 6 日(金)
             場所:北海道 小樽市
             主催:森羅万象学校企画グループ
             後援:惑星科学研究センター(CPS)
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話題1「異質なものの交錯:二重の識別不能性と身体」

 郡司ペギオ幸夫(神戸大学)

  環境に適応・発達しながら、個物として存在するシステムは、環境に対する
イメージを自分の内部に作り出し(表象し)、外部との調整をするしかない。
このとき表象と外部環境とのずれ、二重性もまた、異質な二重の表象として作
り出される可能性がある。内部に宿る、二重の表象間の調整過程こそが、環境
に対する頑健さ、適応を創り出す。

  このことを、(1)アメーバのモデル、(2)認知的な身体イメージに関す
る実験、(3)ラフ集合に基づく二重の識別不能性が創り出す多様性、の三つ
の文脈で議論する。

  特に(2)に関して、近年、人間が自ら創り出す身体イメージについて、異
質な二つの側面が重要視されている。第一に身体の所有感、第二が身体の制御
感である。身体イメージに関する実験として、ごく最近、身体の拡張実験が多
くなされている。例えば、ラバーハンド錯視という実験がある。ゴムで作った
作り物の手をテーブルの上におき、本物の腕は、衝立に隠してみえないように
テーブル上に置く。被験者はゴムの手を見る。実験者は、ゴムの手と本物の手
を同期させながら筆でこする。このとき、被験者は、ゴムの手を本物の自分の
手と感じるのである。これには幾つかのヴァージョンがあり、身体全体が別の
ところにあるという感覚さえつくれる(微弱であるが)。

  これらの実験は、制御感はないが、所有性があるという実験である。我々は
この逆のヴァージョンの実験系をつくることに成功し、これによって、制御感
と所有感が、独立でありながら、調整を続けることで、動的な身体性を作り出
しているだろう、という描像に向けた一歩を進めたと考えられる。

  また(3)では、集合で表された世界の解釈が二つあるとき、その各々から
作り出される世界の分類の仕方の両者をつかうことで初めて、世界に対する解
釈の多様性が担保されることを示す。実際、ラフ集合の理論では、或る分類体
系があると、そこから上近似、下近似という二つの操作が定義できるが、ここ
では異なる分類を用意して、第一の分類体系の上近似と第二のそれの下近似を
合成した操作の不動点の集合で世界のモデルをつくるという方法を与え、それ
によって初めて多様な解釈が可能となることを示すものである。


話題2「システム生物学の新しい見方〜化学反応からネットワークまで〜」

 春名太一(神戸大学)

  生物の「部品」を詳細に調べ上げてきた分子生物学の成熟を受けて、その成
果を元に生物を「全体」、システムとして理解しようと試みるシステム生物学
が近年盛んに研究されています。本講演では主流のシステム生物学を横目に見
つつも、通常とは異なる理解の仕方を二つの話題を通じて議論していきたいと
思います。一つ目は化学反応に関する話題です。細胞のような体積が小さい系
では反応に参加する分子の個数が少ないため濃度を変数とする通常の速度方程
式による記述が成り立たないといわれています。従来は個数が少ないからゆら
ぎが大きいということが強調されてきました。しかし本講演では分子が「粒粒」
であること自体が反応のダイナミクスにどのような影響を与えるのかを考えま
す。二つ目はネットワークに関する話題です。通常ネットワークはモノや情報
が流れる経路であり、その経路上のモノや情報のダイナミクスがシステムの機
能を担うと考えられています。しかし本講演では逆にネットワークの構造がシ
ステムの機能の具現化である、と考えることができるような記述の枠組みを、
代数を利用して構築する試みを紹介します。

■ プログラム

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             [午前 9:00〜12:00]               [午後 13:30〜18:00]
    3/04(水) 13:00までに集合                   講演 郡司氏
    3/05(木) 講演 郡司氏                       講演 春名氏
    3/06(金) 講演 春名氏,解散
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    ※ おおよそのスケジュールですので変更が有り得ます.
    ※ 夕食後は講演の予備時間としますが, 基本的には自由時間です.
       講演者の方との懇親会も予定しています. 
    ※ プログラムは入れ替わる可能性があります.

■ 参加費

    全日参加 : 20,000 円 朝昼夕食, 懇親会費込

    - 参加費は現地で徴収致します.
    - 参加費は宿泊費, 運営経費等にあてさせて頂きます. 交通費は含みま
      せん.
    - 部分参加についてはご相談下さい

■ 会場

    会場:マリンヒルホテル小樽
    HP:http://www.sempos.or.jp/otaru/
    住所:〒047-0154小樽市朝里川温泉1-112-1
    電話:0134-52-2929, FAX:0134-54-3525
     - 小樽市郊外の温泉宿です. 
     - 新千歳空港からJR快速(小樽築港下車)+バスで70分です. 

■ 申し込み・お問い合わせ

    本メール最後にあるフォームに従った形式で, 以下のメールアドレス
    へお送りください. なお, 定員に達した時点で申し込み受付を締め切
    らせて頂きます. 御容赦ください.

    不明な点がありましたら, お気軽にお問い合わせください.

    申し込み締め切り: 2009/2/18 (水)
    問い合わせ/申し込み: 森羅万象学校企画グループ
                         sinra-apply09 [at] sinra.jp
                         (送信時に[at]を半角@に変えてください)

    ○ 記入上の注意
    - 「参加日程」欄は該当部分のみを残してください.

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なまえ: しんら まなぶ
名前:  森羅 学
name:  SHINRA Manabu
性別:  男・女 (一方を残してください)
身分:  M1
所属:  羅森大学大学院 理工学研究科 宇宙惑星地球科学専攻
所属TEL:  xxx-xxx-xxxx
所属〒:  xxx-xxxx
所属住所:  羅森市白金区緑山台4-58
所属FAX:  xxx-xxx-xxxx
email:  shira@domain.ac.jp
参加日程: 必要な部分以外消してください
          全日参加
          部分参加   (宿泊日)   4 日,5日
          日帰り参加 (参加日)   4 日,5日,6日
MEMO:  地球惑星科学 (専門分野など)
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