1.4.3 正規変換パラメタ

上記のU座標を2次元V座標に変換する 正規化変換に必要なパラメータには以下のものがある. これらはGRPH1の内部変数を管理するルーチン SGpGET/SGpSETにより 一つずつ設定/参照できるが, 同種のパラメータをまとめて設定するユーティリティーも用意されている.

ビューポート
( VXMIN, VXMAX, VYMIN, VYMAX )
ビューポートを指定するパラメタは, すべての変換に共通で必須である. ビューポートとは, 通常座標軸が描かれる矩形の枠である. クリッピングをするように指定すると, この枠からはみ出した部分は 描画されない. ビューポートを指定するには, その左下と右上の角のVCにおける座標値 を指定する.

これらのパラメータは SGSVPT/SGQVPT によって 設定/参照できる.

ウインドウ
( UXMIN, UXMAX, UYMIN, UYMAX )
ウインドウは直角直線座標系を設定するのに必要なパラメタである. これは, ビューポートに対応する座標値を UC の値で指定する.

地図投影座標系の場合には, GRPH1 の範囲ではこの情報を必要としないが, GRPH2 のパッケージが「注目している緯度経度範囲」という意味で 参照する場合がある. この場合には, 一般にビューポートとウインドウは一致しない.

これらのパラメータは SGSWND/SGQWND によって 設定/参照できる.

相似変換パラメタ
( SIMFAC, VXOFF, VYOFF )
直交曲線座標系および地図投影変換の場合の, 相似変換 (拡大縮小と原点移動) のパラメタ. 直交曲線座標系の関数は MATH1/CTRLIB, 地図投影座標系の関数は MATH1/MAPLIB の関数によって 定義されている. GRPH1 では, これらの関数が返す値に, SIMFAC を掛けて VC の値に変換し, 原点をビューポートの中心から (VXOFF, VYOFF) 平行移動した位置に 設定する.

これらのパラメータは SGSSIM/SGQSIM によって 設定/参照できる.

地図座標回転パラメタ
( PLX, PLY, PLROT )
地図投影変換は常に経度範囲 [-180º,180º] 緯度範囲 [-90º,90º]  に対して行なわれるので, 任意の視点からの投影を行なうためには, 地図投影を行なう前に緯度経度座標を回転させておく必要がある. (PLX, PLY) は投影座標 (TC) の極をおく経度・緯度(UC)を 指定し, PLROT は投影座標の極の回りの回転角を指定する.

これらのパラメタと, 一般に3次元の回転角を指定するのに使われる 「オイラーの角(θ,φ,ψ)」 との関係は, θ=π/2-PLY, φ=PLX, ψ=PLROT である. (オイラーの角の意味については, 数学辞典などを参照のこと.)

これらのパラメータは SGSMPL/SGQMPL によって 設定/参照できる.

実際の操作としては, UC と TC (投影座標) が一致している状態を初期状態として,

1.
北極を中心として TC を φ 回転させる.
(経度 PLX の経線を中央経線とする)
2.
TC の北極を中央経線の方向に θ回転させる.
(経度・緯度 (PLX, PLY) の地点を, TC の北極とする)
3.
TC の北極の回りに, ψ 回転させる.
(経度PLX の経線と, TC の中央経線のなす角を PLROT とする. )
となる.

TC から VC への変換は上記の相似変換パラメタによって 決められる. その際地図投影のタイプによって VC 原点に投影される TC の 値が異なる.

図 法 原点に投影される TC
円筒図法 (0, 0)
方位図法 (90, 0)
円錐図法 円錐の頂点


原点に投影されるこれら TC の値は, オイラーの角を (0,0,0) と したとき, すなわち (PLX,PLY,PLROT)=(λ,90.,0) と した場合に対応する.

通常の円筒図法や円錐図法 (正軸法) で, 経度λの経線を中央経線とするには, (PLX,PLY)=(λ,90.,0)  とする.

方位図法において, 経度・緯度 (λ,φ) を中心とした 地図を描くには, (PLX,PLY)=(λ,φ)  とし, 必要に応じて PLROT を指定する PLROT=0 の時, 必ずUCの南極が原点の下になる.

横軸法の円筒図法などでは, (PLX,PLY)として赤道上の点を 指定する. PLROT=0  の時, UCの南極が中央経線上に投影される. 例えば, 北極海, 大西洋, 南極環海を一つながりの海として 横軸法で表すには, (PLX, PLY, PLROT) = (60.,0.,-90.) とする.

標準緯度
( STLAT1, STLAT2 )
円錐図法の投影では上記のパラメタ以外に, 標準緯度が必要である. ランベルト正角円錐図法は標準緯線が二つあるので, STLAT2 も指定しなければならないが, その他の円錐図法は STLAT1 の値のみを使う.

これらのパラメータは SGRGET/SGRSET によって 設定/参照できる.

衛星軌道半径
( RSAT )
正射図法は本来, 無限遠から地球を眺めたような投影法であるが, オプションとして有限の位置にいる衛星から眺めたような投影 (Satellite View) が可能である. 正射図法でこのオプションを選択するには, RSAT を 1 以上の値に設定する. RSAT は, 地球半径を 1 とした時の「衛星の軌道半径」である.

これらのパラメータは SGRGET/SGRSET によって 設定/参照できる.