計算機のなまり 1
FORTRANの方言計算機言語には各国の標準機関(日本ではJIS) 及び国際標準機関 (ISO) によ り定められた規格があります.FORTRAN も例外ではなく,いわゆる FORTRAN77 の規格があります.
FORTRAN コンパイラは通常,「標準語」としての FORTRAN77 規格 + α の機能を持っています.この + α が拡張機能と呼ばれるものです. このような FORTRAN77 上位互換コンパイラは,コンパイラとしての機能は高 いのですが,逆に,+αの機能を使ったプログラムは,そのコンパイラ でないとコンパイルできないことになります.そういうわけで,ここでは +αの部分を「方言」と呼びます.
例えば,INCLUDE 文や4倍精度の実数,行末コメントなどは,良く知られた 「方言」です.このような FORTRANの「方言」は特定の計算機を使いこなすに は便利な場合も多いのですが,そのプログラムが他の計算機で動く保証はどこ にもありません.プログラムの可搬性(他の計算機への移植のしやすさ)を高め るには,そのプログラムを「標準語」化する必要があります.
しかし,どんなコンパイラでも大なり小なり「方言」を持っており,「方言」 を含まないプログラムを書くことは容易なことではありません.そもそも,あ る1つの計算機しか使ったことがなければ,何が「標準語」で何が「方言」か を見分けることすら困難です.
DCL は,極力この「方言」を避けるように努めています.どうしても「方言」 を使わなければならないところでも直接「方言」は使わないで,「電脳標準語」 を定義して各プログラムの中ではこの「電脳標準語」を使うようにしています. この「標準語」化の努力が DCL の最大の特徴であり,DCL の可搬性を生み出 しているのです.
NUMAGUTI Atusi <a1n@gfdl.gov> Last Modified: Thu Aug 31 13:11:07 EDT 1995