Takemi (2007) の設定における二次元計算

資源

• プログラム: deepconv arare4 ver. 20100910
  • 熱帯場
    • ソースツリー
    • tar.gz
  • 中緯度場
    • ソースツリー
    • tar.gz

計算の概要

• Takemi (2007) の数値計算における, 温度・湿度の基本場と, 鉛直シアーのある風を用いた再現計算をした

基本場の説明

• 基本場は大きく分けて, 熱帯と中緯度の二つを仮定したものがある

熱帯場と中緯度場の共通点

• 温度は以下のように与える

  θ(z) = θ_0 + (θ_tr + θ_0)(z/z_tr)^(5/4), z ≦ z_tr ・・・・・・ (1)

  θ(z) = θ_tr * exp[g(z - z_tr) / (C_p T_tr)], z ＞ z_tr ・・・・・ (2)

  • θ(z): 温位の基本場
  • θ_0 (= 300 K): 地表面の温位
  • θ_tr: 対流圏界面での温位
  • T_tr : 対流圏界面での温度
  • z : 高度
  • z_tr (12 ㎞) : 対流圏界面の高度
  • C_p : 定圧比熱
  • g : 重力加速度

• 湿度は以下の式で与える

  • 高度 0 km～1.5 km の湿度は混合比の一定値 (後述) で与える

  RH(z) = 1 - 0.75(z/z_tr)^(5/4), 1.5 [km] ＜ z ≦ z_tr・・(3)

  RH(z) = 0.25, z ＞ z_tr ・・ (4)

  • RH(z): 基本場の相対湿度
• シアーを与える高度を 3 パターン用意する
  • 高度 0.0 - 2.5 km
  • 高度 2.5 - 5.0 km
  • 高度 5.0 - 7.5 km

熱帯場の設定

• 温度
  • (1),(2) 式で θ_tr = 358 K とする
    • 熱帯場と呼ぶ
• 湿度 (Takemi, 2007 で用いられた, 設定毎の省略名を用いる)
  • Q18
    • 高度 0 - 1.5 km の水蒸気の混合比を 18 g/kg で固定
    • 高度 1.5 ㎞ 以上は (3),(4) 式で変化させる
  • Q18DRY1
    • 高度 0 - 1.5 km の水蒸気の混合比を 18 g/kg で固定
    • 高度 1.5 - 2.5 ㎞ は (3) 式で変化させる
    • 高度 2.5 ㎞ 以上は (3) 式から 20 % 引いた式で変化させ, 25 % 以下になったら 25 % で固定
  • Q18DRY2
    • 高度 0 - 1.5 km の水蒸気の混合比を 18 g/kg で固定
    • 高度 1.5 - 5.0 ㎞ は (3) 式で変化させる
    • 高度 5.0 ㎞ 以上は (3) 式から 20 % 引いた式で変化させ, 25 % 以下になったら 25 % で固定
  • Q18DRY3
    • 高度 0 - 1.5 km の水蒸気の混合比を 18 g/kg で固定
    • 高度 1.5 - 7.5 ㎞ は (3) 式で変化させる
    • 高度 7.5 ㎞ 以上は (3) 式から 20 % 引いた式で変化させ, 25 % 以下になったら 25 % で固定
• 風速の最大値 (Us) を 3 パターン用意する
  • 5 m/s
  • 10 m/s
  • 15 m/s

中緯度場の設定

• 温度
  • (1),(2) 式で θ_tr = 343 K とする
    • 中緯度場と呼ぶ
• 湿度 (Takemi, 2007 で用いられた, 設定毎の省略名を用いる)
  • Q18
    • 高度 0 - 1.5 km の水蒸気の混合比を 18 g/kg で固定
    • 高度 1.5 ㎞ 以上は (3),(4) 式で変化させる
  • Q16
    • 高度 0 - 1.5 km の水蒸気の混合比を 16 g/kg で固定
    • 高度 1.5 ㎞ 以上は (3),(4) 式で変化させる
  • Q14
    • 高度 0 - 1.5 km の水蒸気の混合比を 14 g/kg で固定
    • 高度 1.5 ㎞ 以上は (3),(4) 式で変化させる
  • Q12
    • 高度 0 - 1.5 km の水蒸気の混合比を 12 g/kg で固定
    • 高度 1.5 ㎞ 以上は (3),(4) 式で変化させる
  • Q10
    • 高度 0 - 1.5 km の水蒸気の混合比を 10 g/kg で固定
    • 高度 1.5 ㎞ 以上は (3),(4) 式で変化させる
  • Q16DRY1
    • 高度 0 - 2 km までは Q16 と同じ
    • 高度 2 ㎞ 以上は (3) 式から相対湿度を 13 % 引いた式で変化させ, 25 % 以下になったら 25 % で固定
  • Q16DRY2
    • 高度 0 - 2 km までは Q16 と同じ
    • 高度 2 ㎞ 以上は (3) 式から相対湿度を 30 % 引いた式で変化させ, 25 % 以下になったら 25 % で固定
• 風速の最大値 (Us) を 3 パターン用意する
  • 10 m/s
  • 15 m/s
  • 20 m/s

実験設定

• 水平格子間隔 : 250 m
• 鉛直格子間隔 : 250 m
• 長い時間ステップ : 1 s
• 短い時間ステップ : 0.2 s
• 水平領域 : 100 km
• 鉛直領域 : 21 km
• 積分時間 : 6 h
• 対流圏界面高度 : 12 ㎞

実験結果

熱帯場

• 湿度: Q18, 風なし
  • NAMELIST
  • netCDF
    • dennou-k: /GFD_Dennou_Work/deepconv/arare/sample/2011-02-16_sekki/Tropic/LowLevel/0
• 湿度: Q18, 0 km～2.5 km に鉛直シアーのある風, Us = 5 ms^-1
  • NAMELIST
  • netCDF
    • dennou-k: /GFD_Dennou_Work/deepconv/arare/sample/2011-02-16_sekki/Tropic/LowLevel/5
• 湿度: Q18, 0 km～2.5 km に鉛直シアーのある風, Us = 15 ms^-1
  • NAMELIST
  • netCDF
    • dennou-k: /GFD_Dennou_Work/deepconv/arare/sample/2011-02-16_sekki/Tropic/LowLevel/15
• 湿度: Q18, 2.5 km～5.0 km に鉛直シアーのある風, Us = 5 ms^-1
  • NAMELIST
  • netCDF
    • dennou-k: /GFD_Dennou_Work/deepconv/arare/sample/2011-02-16_sekki/Tropic/MidLevel/5
• 湿度: Q18, 2.5 km～5.0 km に鉛直シアーのある風, Us = 15 ms^-1
  • NAMELIST
  • netCDF
    • dennou-k: /GFD_Dennou_Work/deepconv/arare/sample/2011-02-16_sekki/Tropic/MidLevel/15

中緯度場

• 湿度: Q14, 風なし
  • NAMELIST
  • netCDF
    • dennou-k: /GFD_Dennou_Work/deepconv/arare/sample/2011-02-16_sekki/Midlat/LowLevel/0
• 湿度: Q14, 0 km～2.5 km に鉛直シアーのある風, Us = 10 ms^-1
  • NAMELIST
  • netCDF
    • dennou-k: /GFD_Dennou_Work/deepconv/arare/sample/2011-02-16_sekki/Midlat/LowLevel/10
• 湿度: Q14, 0 km～2.5 km に鉛直シアーのある風, Us = 20 ms^-1
  • NAMELIST
  • netCDF
    • dennou-k: /GFD_Dennou_Work/deepconv/arare/sample/2011-02-16_sekki/Midlat/LowLevel/20
• 湿度: Q14, 2.5 km～5.0 km に鉛直シアーのある風, Us = 10 ms^-1
  • NAMELIST
  • netCDF
    • dennou-k: /GFD_Dennou_Work/deepconv/arare/sample/2011-02-16_sekki/Midlat/MidLevel/10
• 湿度: Q14, 2.5 km～5.0 km に鉛直シアーのある風, Us = 20 ms^-1
  • NAMELIST
  • netCDF
    • dennou-k: /GFD_Dennou_Work/deepconv/arare/sample/2011-02-16_sekki/Midlat/MidLevel/20

参考文献

• Takemi, T., 2007: A sensitivity of squall-line intensity to environmental static stability under various shear and moisture conditions Atmospheric Research Volume 84, Issue 4, June 2007, Pages 374-389
• Takemi, T., 2006: Impacts of moisture profiles on the evolution and organization of midlatitde squall lines under various shear conditions, Atmos. Res., Vol.82.
• Weisman, M.L., Klemp, J.B., 1982. The dependence of numerically simulated convective storms on vertical wind shear and buoyancy. Mon. Weather Rev. 110, 504-520.

温度・湿度の基本場 (Takemi, 2007)

温位の基本場 (Takemi, 2007). 縦軸: 高度 [km], 横軸: 温位 [K]. TROPICS: 熱帯場, MIDLAT: 中緯度場, USSTD+15: 米国標準大気 OBS-TROPICS: 熱帯における観測値	熱帯場における相対湿度の鉛直分布 (Takemi, 2007). 縦軸: 高度 [km], 横軸: 相対湿度 [%]. 図のラベルは基本場の説明を参照.
中緯度場における相対湿度の鉛直分布 (Q10～Q18, Takemi, 2007). 縦軸: 高度 [km], 横軸: 相対湿度 [%]. 図のラベルは基本場の説明を参照.	中緯度場における相対湿度の鉛直分布 (Q16, Q16DRY1, Q16DRY2, Takemi, 2007). 縦軸: 高度 [km], 横軸: 相対湿度 [%]. 図のラベルは基本場の説明を参照.
鉛直シアーのある風 (Takemi, 2007). ラベルの Low-level, Middle-level, Upper-level はそれぞれ, 0 km～2.5 km, 2.5 km～5.0 km, 5.0 km～7.5 km にシアーを与える場合を表す. Us に与えられる値は基本場の説明を参照.