条件付き不安定
乾燥空気を上昇させると, 断熱膨張により温度が下がる. この鉛直温度勾配を乾燥断熱減率と呼ぶ. これよりも温度勾配がきつい (高さとともに気温が急激に下がる) と 大気層は不安定になる.
これに対して,水蒸気で飽和した大気を上昇させると, 気温の低下に伴って,水蒸気が凝結して熱を出すので, 乾燥断熱減率より温度勾配が小さくなる. これを湿潤断熱減率と呼ぶ.
つまり,飽和大気は乾燥大気より小さな温度勾配で不安定になる. 乾燥大気,飽和大気どちらに対しても 安定な鉛直温度分布を持つ状態を絶対安定, 逆に,どちらに対しても不安定になる状態を絶対不安定といい, その間で乾燥大気に対しては安定であるが,飽和大気に対しては不安定な状態を 条件付き不安定と呼ぶ.
大気下層は通常この条件付き不安定の状態で, 水蒸気が飽和に達すると不安定となり, 積雲や積乱雲を生じる.