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波を上から入れる
- 実際の成層圏では, 下側境界から波が伝播してくる. Plum & MacEwan の実験でも, 水槽の下で波を起こしているが, そのような装置は制作が難しい.
逆に,水面で波を起こすようにすれば, 水槽そのものの構造も簡単になるし, 実験中にトラブルが起こっても対処しやすい.
内部重力波の性質は,上下対称なので, 上から波を入れても同じことが起こる.
泡対策
- 長時間実験をすると, 水槽の内側に無数の泡がついてくる. 成層を作る時に, 台所用の洗剤を少量混ぜておくと, 泡の付着をかなり防げる.
ただし, 洗剤によっては水に溶かすと白濁したり, 特定の塩分濃度で白濁するものもある.
中立浮き
- この実験では各層の塩水の比重に対応した中立浮きが必要である. さまざまな素材で実験したが, 結局, ホットメルトガン (接着剤を熱で熔かして出すピストルのような形をしたもの) 用の接着剤と,画材屋で売っている自由樹脂 (お湯で温めると柔らかくなる) を混ぜたものが最もよかった.
ホットメルトガンの接着剤は水よりも軽く, 自由樹脂は水より重いので, これをお湯につけて柔らかくして, 適当な割合で練り合わせると, いろいろな比重のプラスチックができる.
これを整形するには,ホットメルトガンの接着剤のように, まず丸棒を作り, それをトランスを使って温度を下げたガンに装着して 押し出すと,「うどん」のような形で出てくる. これが柔らかいうちに適当な大きさに切って丸めると 中立浮きのでき上がりである.
パラフィンにカオリン (粘土を乾燥させて粉にしたようなもの) を 混ぜて比重を調整したものも試してみたが, こちらはすぐに泡がついて浮き上がってきてしまい, うまくいかなかった.
密度勾配を測る
- この実験では, 鉛直方向の密度勾配が重要で, 特に波を起こす表面付近の密度勾配がきれいにできていないと, 実験がうまく行かない. これをチェックするために, ここではレーザーを使った.
成層流体中にレーザー光を水平に入射させると, その光は下向きに曲がる. 水槽の内側に鉛直に鏡を置いて, レーザー光を反射させると, 光は二度水槽内を通って戻ってくるので, 水槽を通らない時に比べて下にずれる. このずれの大きさを測定することで, 密度勾配の大きさを非接触で測定することができる.