リモネンによる境界面高度の可視化


可視化原理

偏光した白色光をリモネンの層に通すと, 偏光面が回転する. その角度は光の波長に依存するので, リモネンを通過した光をもう一枚の偏光板に通すと, 特定の波長の光だけが通過することになる. この回転角は当然,リモネンの層の厚さに比例するので, リモネンの層の厚さが変化すると, 通過する色も変化することになる.

リモネン

C10H16. リモネンは柑橘類の油に含まれる物質で, 直線偏光状態の光の偏光面を回転させる旋光性がある. 光学異性体 dl があり, d-リモネンは右回り, l-リモネンは左回りに回転させる. 密度は0.84 g/cm3. 香料として使われる他, 最近では洗剤にも使われる.

旋光特性

自記分光光度計と偏光板2枚を使って計った結果を示す. 測定方法は次のとおり.

  • 四角いビーカー(約8cm角)の向い合う2つの側面に カメラ用の偏光板を取り付け, 2枚の偏光板の偏光面をある角度に設定する.
  • そのビーカーに資料を入れて, 分光光度計の資料室に収め透過率が最も低くなる波長を求める.
この偏光板の角度を少しずつ変えて, それぞれの旋光角に対応する波長をグラフにしたものが右図である. このグラフでは光が10cm進む間に回転する角度に換算してある. また臭化メチレンを入れた場合の旋光度は, 臭化メチレンの体積比に比例して小さくなる.

可視化のコツ

波長400μの光と800μの光では, 10cm のリモネンの層を通過した後の回転角が180度以上違う. この状態では両方の光とも2枚目の偏光板を通過してしまい, 色がはっきり出ない. そのような場合には, ショートカットフィルターまたはバンドパスフィルターを通して, 回転角の差が90度程度になるようにすると, 鮮明に色が出るようになる.