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: 補正係数の決め方 : Zalesak(1979) による表現: 1次元 : Zalesak(1979) による表現: 1次元   目次

計算手順

Zalesak(1979) に従うとその計算手順は以下のようになる.

  1. 精度の低い低次のスキームを用いてフラックスを計算する. これを $F_{i+\frac{1}{2}}^{L}$ と表す. このとき用いるスキームは上流差分 のような「単調な」(数値波を作らない)スキームであることが要請され る.
  2. 精度の高い高次のスキームを用いてフラックスを計算する. これを $F_{i+\frac{1}{2}}^{H}$ と表す.
  3. antidiffusive フラックスを以下のようにして定義する.
    \begin{displaymath}
A_{i+\frac{1}{2}}\equiv F_{i+\frac{1}{2}}^{H}-F_{i+\frac{1}{2}}^{L}.
\end{displaymath} (14')

  4. 低次のスキームで計算する.
    \begin{displaymath}
\rho _{i}^{td}=\rho _{i}^{n} - \frac{1}{\Delta x}[F_{i+\frac{1}{2}}^{L}
-F_{i-\frac{1}{2}}^{L}].
\end{displaymath} (15')

  5. 補正フラックスを適当な方法で計算する. 補正の与える際の条件は Boris and Book(1973) と同様である.
    \begin{displaymath}
A_{i+\frac{1}{2}}^{c} = C_{i+\frac{1}{2}}A_{i+\frac{1}{2}}, \;
0 \le C_{i+\frac{1}{2}}\le 1.
\end{displaymath} (16')

    なお補正係数 $C_{i+\frac{1}{2}}$ の与え方については後述する.

  6. 補正フラックスを与える.
    \begin{displaymath}
\rho _{i}^{td}=\rho _{i}^{n} - \frac{1}{\Delta x}[A_{i+\frac{1}{2}}^{c}
-A_{i-\frac{1}{2}}^{c}].
\end{displaymath} (17')

このように定義することにより応用範囲が大きく広がる. 低次のスキーム には条件がつくが, 高次のスキームに対しては何も制約がないのであらゆ るスキームを用いることができる. 組み合わせるスキームを決めてしまえ ばあとは上記の手順に沿って機械的に計算を進めることができる. 実際計 算をする場合には $F_{i+\frac{1}{2}}^{L}, F_{i+\frac{1}{2}}^{H}$ を 計算する部分のコードだけを書き換えればよいことになるので, 種々のス キームを用いてそのパフォーマンスを比較検討することが容易になる.

なお Harten and Zwas(1972) による自己調節混合スキーム (Self-Adjusting Hybrid Schemes; 以下 SAHS とする)は, 上記の 5 番 目に相当する所の計算方法が異なるだけで, その他の手順は同様である.

(14)$\sim $(17)をまとめて書くこともできる. この場合


\begin{displaymath}
\rho _{i}^{n+1}=\rho _{i}^{n}
- \frac{1}{\Delta x}\left\{[...
...}}^{H}+
(1-C_{i-\frac{1}{2}})F_{i-\frac{1}{2}}^{L}]\right\},
\end{displaymath} (18')

となる. FCT とは低次と高次のスキームの重ね合わせであり, その比率 $C_{i+\frac{1}{2}}$ の与え方に工夫を凝らしたものと捉えることができ る. $C_{i+\frac{1}{2}}$ の与え方を変えると SAHS にすることもできる. 一般に FCT として普通目にするのは(18)式の表現である. ここまで来ると Boris and Book(1973), Book et al.(1975) の表 現とは一見異なるが, やっていることは同じである.



odakker 平成18年2月13日