16のルールとチェックポイント(藤沢晃治 1999)
藤沢晃治著 “「分かりやすい表現」の技術—意図を正しく伝えるための16のルール” (ブルーバックス, 1999) による16のルールとチェックポイント
16のルール
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1. おもてなしの心を持て。
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 - 2. 「受け手」のプロフィールを設定せよ。
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 - 3. 「受け手」の熱意を見極めよ。
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 - 4. 大前提の説明を忘れるな。
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 - 5. まず全体地図を与え、その後、適宜、現在地を確認させよ。
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 - 6. 複数解釈を許すな。
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 - 7. 情報のサイズ制限を守れ。
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 - 8. 欲張るな。場合によっては詳細を捨てよ。
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 - 9. 具体的な情報を示せ。
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 - 10. 情報に優先順位をつけよ。
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 - 11. 情報を共通項でくくれ。
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 - 12. 項目の相互関係を明示せよ。
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 - 13. 視野特性(見やすさ)を重視せよ。
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 - 14. 自然発想に逆らうな。
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 - 15. 情報の受信順序を明示せよ。
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 - 16. 翻訳はことばではなき意味を訳せ。
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チェックポイント
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1. おもてなしの心を持て。
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受けてをお客様と考えているか?
 - 受け手の立場、目線で発想しているか?
 - 受け手に対して低姿勢か?
 - 受け手を楽にする「情報の事前整理」をやっているか?
 - 情報をもっと整理する余地を残していないか?
 - 表にできないか?
 - 図解できないか?
 - フールプルーフになっているか?
 - 受け手が支払う代金に見合うサービスをしているか?
 - 「分からないのがお前が悪い。ちゃんと書いてあるじゃないか」と思っていないか?
 
 - 2. 「受け手」のプロフィールを設定せよ。
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受け手のプロフィールを思い浮かべたか? 年齢層は? 性別は?
 - 受けては素人か、初級者か、中級者か?
 - あなたが省略している大前提を受けては知っているか?
 - あなたにとっての常識の説明を省いていないか?
 - 受け手に分からない特殊用語、専門用語を使っていないか?
 - 受け手が何を理解しづらいのか考えてみたか?
 - いきなり、そんな詳細な説明から入って大丈夫か?
 - それは、あなたの職場(集団)だけで通じる説明ではないか?
 - フールプルーフになっているか?
 - 設定した受け手と同じレベルの人に、事前チェックしてもらったか?
 
 - 3. 「受け手」の熱意を見極めよ。
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受け手はわがまま。気ままなお客様だという前提を忘れていないか?
 - 受け手があなたの主張に強い興味を持つと思い込んでいないか?
 - 受け手が、あなたの情報を理解しようと自ら努力してくれると思い込んでいないか?
 - 受けてがそんな細かい所まで、辛抱強く読むと思うか?
 - 受け手の中途放棄の強権を忘れていないか?
 - 受け手が逃げ出さないよう工夫しているか?
 - 送り手がすましておくべき仕事(情報整理)を受け手に回していないか?
 - 時間が長過ぎないか? 休憩が必要ではないか?
 - 量が多過ぎないか? 別の章に回した方がよくないか?
 - フールプルーフの原則を守っているか?
 
 - 4. 大前提の説明を忘れるな。
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自分が分かり過ぎている人であることを自覚しているか?
 - 初心者の発想を忘れていないか?
 - あなたが発信する情報の前提となる知識は何かチェックしたか?
 - 当然すぎて説明していない前提が、受け手の基礎知識にあるかどうか確かめたか?
 - これは説明を省けると思っている前提は、本当に説明しなくても大丈夫か?
 - 受け手の持っている大前提以上のことはきちんと説明しているか?
 - そもそも「これから何を説明するか」を説明しているか?
 - それは、仲間うちだけで通用することば。事柄ではないか?
 
 - 5. まず全体地図を与え、その後、適宜、現在地を確認させよ。
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最初に「概要説明」をしているか?
 - テーマごとのグループ分けは適切か?
 - 受け手は、全体の流れを理解しているか?
 - その説明で、受け手は、そもそも何を説明されているのか分かるのか?
 - 各テーマに入る冒頭で、その都度、主題、概要を説明しているか?
 - 説明の途中で、適宜、受け手の現在地を確認させているか?
 - 説明が必要な大前提は、きちんと説明しているか?
 - 「概要→評価」の順序を守っているか?
 - 適切な単位ごとに、表題、見出しなどをつけているか?
 
 - 6. 複数解釈を許すな。
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それは自分だけの思い込みではないか。再チェックしたか?
 - すべて明確にグループ分けしてあるか?
 - どこに属すか。不明確なものはないか?
 - 意味があいまいなものは含まれていないか?
 - その代名詞が何を指しているのか明確か?
 - その形容詞(または副詞)がどの語を修飾しているのか明らかか?
 - 枠や色でグループ分けできないか?
 - 第三者に最終チェックしてもらったか?
 - 十分な人数にチェックしてもらったか?
 
 - 7. 情報のサイズ制限を守れ。
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速過ぎないか?
 - 一区切りが長過ぎないか?
 - 一視野当たりの選択肢の数が多過ぎないか?
 - 不必要な情報で上げ底していないか?
 - 受け手にすべて理解してもらう必要があるのか?
 - そんなに長い時間、受け手が集中できるのか?
 - そんな短時間で、受け手が全部受信できるのか?
 - 受け手が理解できるだけの時間があるのか?
 - 短時間で理解できるように、もっと噛み砕いた表現にできないか?
 
 - 8. 欲張るな。場合によっては詳細を捨てよ。
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情報の総量が多過ぎないか?
 - それ全部が本当に必要なのか?
 - どれをいちばん伝えたいのか?
 - なくてもよい情報が混じっていないか?
 - もっと絞り込めないか?
 - 受け手は、一度にそれ全部を理解できるのか?
 - 詳細は別の機会、別の回、別のページに譲れないか?
 - 基本機能と補足機能が、一度に両方とも受け手に見えてしまっていないか?
 - 上級者向け補足機能は、見たい人だけ見えるようにできないか?
 
 - 9. 具体的な情報を示せ。
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概念の説明だけに終始していないか?
 - 豊富な実例、具体例をあげているか?
 - それは実物に即しているか?
 - もっと身近なケースで説明できないか?
 - それは実際にはどうなるのか?
 - その範囲は明確か?
 - どういう場合が該当するか明確か?
 - 数値で示せないか?
 - 実際の日時や場所を示せないか?
 
 - 10. 情報に優先順位をつけよ。
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何をいちばん伝えたいのか。自分自身が理解しているか?
 - どれが概要で、どれが詳細なのか?
 - どれが主題で、どれが補足なのか?
 - 最重要情報をVIP待遇(文字の大きさ等)しているか?
 - 重要な情報ほど目立つように工夫したか?
 - 差異率を無視していないか?
 - 枝葉末節な情報にスペースを取り過ぎていないか?
 - 重要でない情報は、思い切って省略できないか?
 - 重要でない情報は、別な場所へ持っていけないか?
 
 - 11. 情報を共通項でくくれ。
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説明がくどくないか?
 - 同じことの繰り返しは、一回ですますことはできないか?
 - 同じ説明を繰り返さず、グループ分けできないか?
 - 共通項でくくれないか?
 - 極限まで情報構造の単純化ができているか?
 - もっと少ない語数で表現できないか?
 - もっと簡単に言えないか?
 
 - 12. 項目の相互関係を明示せよ。
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情報の構造を十分吟味、検討したか?
 - まず大項目でグループ分けされているか?
 - どれが表題かが明確か?
 - 大項目、中項目、小項目が明確に区分けされているか?
 - 項目の並列関係と親子関係が混同されていないか?
 - 明確な「場合分け」がなされているか?
 - 次元の違う事柄が同列に表現されていないか?
 - どれがどの項目に属しているかが明確か?
 - 所属不明な項目はないか?
 
 - 13. 視野特性(見やすさ)を重視せよ。
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大項目、中項目、小項目の関係がひとめで分かるか?
 - 色で分けたほうが明確にならないか?
 - 文字の大きさを変えたほうが明確ではないか?
 - 箇条書きにしたほうが明確ではないか?
 - 図解したほうが明確ではないか?
 - 枠でくくったほうが分かりやすくならないか?
 - 「魔の中間危険地帯」に表示していないか?
 - それは、どっちに属しているのか?
 - 行頭位置を変えたほうが明確にならないか?
 - 選択肢の数が多過ぎないか?
 
 - 14. 自然発想に逆らうな。
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定義した受けてのプロフィールを思い浮かべたか?
 - 受け手が何を当然と思うかを検討したか?
 - できるだけ多くの人が発想することにもとづいているか? 
 - 実物の位置関係と対応させているか?
 - 時間の流れと一致させているか?
 - それはあなたの属する集団だけの習慣ではないか?
 - 重要な事柄から順に説明しているか?
 - それは日本固有の習慣ではないか? 世界共通か?
 - 受け手の風俗、習慣に一致しているか?
 
 - 15. 情報の受信順序を明示せよ。
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単に、あなたが思いついた順番に情報を羅列していないか?
 - あなたの期待通りの順番で受け手が読んでくれる保証があるのか?
 - 全体の流れ(情報受信順序)を把握できているのは、あなただけではないのか?
 - それぞれの情報間に相互依存関係はないのか?
 - それを伝える前に、前提となる情報を与えているか?
 - どれを先に読むべきかの順番を受けてが理解しているか?
 - 見て欲ほしい順序があるのなら、それを受け手に伝えているのか?
 
 - 16. 翻訳はことばではなき意味を訳せ。
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「言葉」ではなく、「意味」を訳しているか?
 - 原文の内容を理解するための時間を確保しているか?
 - 原文の書き手に内容の確認を十分行ったか?
 - 原文の意味を完全に理解しているか?
 - 原文の文構造に囚われていないか?
 - 原文と一対一の訳にしなければならないと思っていないか?
 - 同じ意味をもっと別な表現で短く言えないか?
 - 文脈から分かる部分は省略できないか?
 - 意味不明なので、原文にはない説明文を加えるべきではないか?
 
 
参考文献一覧