A. 数理モデルの詳細   d. 放射モデル up previous next
A.d.iv. ダストの光学的厚さ

波数 の光に対する光学的厚さ は, 単位体積あたりの消散係数 を用いて

(A.39)

と表される. ここで は大気上端高度である.

(A.40)

と表される. ここで 消散断面積 (extinction cross section), は散乱物質の粒径分布関数である (cf. Liou, 1980; 柴田, 1999). 質量消散係数 との関係は,

(A.41)

となる. ここで は大気の密度, は散乱物質の質量混合比である. 同様に単位体積あたりの散乱係数, 吸収係数は, 散乱断面積 (scattering cross section) , 吸収断面積(absorption cross section) を用いて

(A.42)
(A.43)

と表される. この場合一次散乱アルベド

(A.44)

となる.

消散断面積を幾何学的断面積で割った値を消散効率 (extinction efficiency )と呼び, これを と表す.

(A.45)

同様に散乱効率 (scattering efficiency) , 吸収効率 (absorption efficiency) が定義される.

(A.46)
(A.47)

本研究における計算では, ダストの質量混合比 を既知の物理量としてダストの光学的厚さを求める. 与えられるパラメータは粒径分布で平均された消散効率と , 一次散乱アルベド , 粒径分布関数 , そのモード半径 有効半径 (断面積加重平均半径 (cross section weighted mean radius) ともいう) , そしてダストの密度 である. , はそれぞれ

(A.48)
(A.49)

で与えられる.

散乱物質の形状を球形と仮定すると単位質量あたりの消散係数は,

 
   
  (A.50)

となる. ここで は大気の密度である. したがって光学的厚さは

(A.51)

となる.


2次元非弾性系を用いた火星大気放射対流の数値計算
Odaka, Nakajima, Ishiwatari, Hayashi,   Nagare Multimedia 2001
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