地球大気における湿潤対流の定式化同様, 大気の乾燥成分と湿潤成分の
分子量の差は密度の式には考慮するが, 熱の式には考慮しないような
系を考える. この系では大気の熱エネルギーは乾燥大気の熱エネルギーで
決まることになる. このような系では温位 が保存量として使える.
水平鉛直 2 次元大気の状態を
気温 , 圧力
, 風速
, 密度
で表現する場合,
基礎方程式系は以下のようになる.
密度の式には凝縮成分の混合比が考慮されている.
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温位は乾燥断熱状態における保存量である.
乾燥断熱状態を表す熱力学の式は
水平鉛直 2 次元大気の状態を
温位 , 圧力
, 風速
, 密度
で表現する場合,
基礎方程式系は以下のようになる.
CReSS(坪木と榊原, 2001)では,
この基礎方程式を用いている.
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(A.20) |
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(A.27) |
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(A.28) |
圧力方程式は密度の式と連続の式を組み合わせることで得られる.
まず密度を
として
の全微分を求める.
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水平鉛直 2 次元大気の状態を
温位 , 無次元圧力
, 風速
, 密度
で表現する場合,
基礎方程式系は以下のようになる.
連続の式 (A.3) と状態方程式 (A.21)
を用いることで得られる圧力方程式を利用する.
Klemp and Willhelmson (1978)では, この基礎方程式を用いている.
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(A.39) |
運動方程式の圧力勾配は, 温位とエクスナー関数を用いることで得られる.
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(A.40) |
圧力方程式は密度の式と連続の式を組み合わせることで得られる.
まず密度を
として
の全微分を計算する.
準圧縮方程式系では, 変数を基本場と擾乱場に分離し, 線形化を行う.
変数を基本場と擾乱場に分離し, 基本場は静水圧平衡にあると仮定する.
この時, 変数は以下のように書ける.
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(A.44) |
水平方向の運動方程式を基本場と擾乱場に分離する.
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鉛直方向の運動方程式を基本場と擾乱場に分離する.
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(A.48) |
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(A.49) |
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Klemp and Wilhelmson (1978) では, 非断熱的な加熱による熱膨張と
凝縮に伴う圧力変化を無視し,
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圧力方程式に関して, 平均成分と擾乱成分に分ける. ただし, 擾乱成分は平均成
分よりも十分小さいという仮定を用い,
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とする.
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(A.50) |
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(A.51) |
熱の式を平均成分と擾乱成分に分離する.
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(A.52) |
凝縮成分の混合比の保存式についても, 変数を平均成分と擾乱成分に分離する.
熱の式と同様に, 以下のように書ける. 但し, 生成項, 落下項は擾乱成分のみ
存在すると仮定する. この仮定は平均場では凝縮は生じていないと考えることに
等しい.
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(A.53) | ||
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(A.54) | ||
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(A.55) |
準圧縮方程式系は以下のようにまとめられる. ただし, 擾乱を示す は
除いた.