タイトルは重要である。タイトルは読者を自分の論文に惹き付ける、最初のチャンスである。検索されることを考慮して、適切なキーワードを埋め込む.
よいタイトルは次の5つの特徴をもつ。
よいイントロは以下の3つを含んでいる.
イントロ では, 関連する研究の紹介と問題提起をし、その問題を解決するために何を当該論文で行うかを, アプローチの概略を含めて手短に述べる.
よく見られる論理構造は次の弁証法(正⇒反⇒合)に従ったものである.
正:「. . . . は重要な問題であって, 多くの研究がなされて来た. (以下関係する研究の紹介. )」
反:「しかし, . . . については従来研究がなされてこなかった. (以下関係する議論)」
合:「そこで本研究の目的は. . . . である. そのために. . . . を行う. 」
ここで正では比較的広い範囲をカバーし, 合ではより狭い特定の問題に焦点を当てることに注意しよう. つまり説明する内容は「一般から個別へ」であり, これは後で述べるように「議論」での内容が「個別から一般」であることと対照的になっている.
なお上の3つの論点をどう段落構成に反映するかは, 使えるスペースに大きく依存する. 字数や枚数に厳しい制限がなく, スペースが十分ある場合は, 1論点を1段落以上を当てる. 一方スペースが乏しい場合には(例えば1ページの要旨, 2~4ページのlettersやextended abstract), 2つあるいは3つの論点を1段落に押し込むことが多い.
いわゆるヒストリカルレビューのようなもの。たいていはIntroductionの一部または大部分になっている。 言うが易しで、実際に書こうとすると膨大な時間と労力を要する。
良い Literature synthesis とは音楽のコンピレーションアルバム(CDで、もともと別のアルバムに入っていた曲を、一定の意図に基づいて集めて作るアルバム)のようなもの。
それはただのベスト盤以上のものであり、
を含んでいる。
ただの事実の羅列は避けるべきであり、良い Literature synthesis を書くための指針(キーワード)は
実験方法等の説明」では, 「はじめに」で設定した問題を解決するために用いた方法を, 他の研究者が追試可能なように過不足なく述べる. この節のタイトルは, 研究方法にふさわしいものを選択する. 例えば, 「データと解析手法」「数値計算」「観測」などがある.
Data and Methodsの節は完全でなくてはならない。追試可能なように過不足なく情報を提示(引用を含む)しなければならない。
ExcelやMATLABなどを使用した解析ツールとして引用する必要はない。
Methodology は the study of methods の意味にとられかねないので Methodsを用いる方が無難。
「結果」は論文・レポートの最も主要な部分であり, 「データと解析手法」の節で説明した方法で得られる事実と, それがどう「はじめに」で提起した問題に答えるかの論理を説明する. 従って結果の記述は, 単なる計算結果の羅列ではなく, 読者の大多数が納得できる解釈や推論や意味付けという, 論理の展開を含む. このような記述と, 結果の後の「議論」(もしくは考察)との違いは, 提起した問題の解決に直接必要な記述は「結果」で行い, その「結果」を踏まえてさらに生ずる2次的な問題を「議論」で扱うことにある, とまずは考えるとよいだろう. 図の意味を理解するのに必要な記述はあくまで「結果」の中で述べなくてはならない.
「結果」で説明する主な内容は, 新たに得られた事項でなくてはならないので, 過去の研究に触れることがあってもすぐに本筋に戻ろう. 簡単な基準としては, 過去の研究は1文で述べるのにとどめるとよい. まれに, 過去の研究との関係を1パラグラフを費やして深く議論する場合があるが, これは1論文中1回だけにする方がいい. また, 教科書などに説明されている一般的な事項も同様に1文で述べるか, より長い記述が必要な場合には「はじめに」か「付録」に移動させる.
Resultsの節は全体像や大きな像から始めるのが良い。
自分が行った解析の結果を全てを、載せる必要は全くない。
“the fool collects the facts; the wise man selects them”
話の流れに必要最低限のデータプロットを用意すればよい。
「議論」では, 「結果」で得られた個別の問題についての情報が, より一般的な科学の世界でどういう価値を持つのかを説明する. つまり説明する内容は「個別から一般へ」であって, 上で述べた「はじめに」での「一般から個別へ」と逆である.
議論で述べられる論点は多岐に渡るが, 主要なものは次の3つで, このうちのいくつかを記述すればよい.
上の項ほど, 書きこなすのに広い関連知識と読者の興味を把握していることが必要である. この要請に加えて, 書く内容の自由度が高いこともあって, 「議論」は論文中で最も書くのが難しい部分である.
情報や概念を提供する目的の文章を意味し、何か結果が得られるものを導きだすための議論はdiscussion ではない。
通常discussionは論文の主な論点を補足したり、予備的な情報を与えたり、関連した事柄を論じたり、仮説を挙げたり、見込みについて述べたり、本筋から離れた議論をする。
Discussion では、以下の事柄について記述する。
ただし、自分の研究が示すResultsと、そこから推察(speculate)される事柄は、明確に区別されていることが伝わるように書くべき。 Speculation を書き出すときは “I speculate that ...” や “If our results are correct, then the hypothesis offered by Smith (1996) is invalid for the following reasons ...” などと書けば、区別が分かりやすい。
これまで述べてきた「結果」そして多くの場合「議論」を踏まえて論文の「結論」を述べる節である. 「議論」と「結論」との2節にかえて, 「まとめと議論」とすることも多い. しかし, 明快な論文を目指すなら, やはり「結論」という節を置く方が良い.
ここでは学会発表に先立って、予稿集に収録される予稿(conference abstract)を書く際のポイントについて述べる。
なお、日本語では「予稿」と呼ばれるが、これに対応する英語はなく、国際会議ではconference abstract と呼ばれる。 しかし、通常の論文のabstractとは異なる。
また、国際会議では提出されたconference abstractをもとに、発表の可否や口頭かポスターかが主催者によって決められる。
extended abstract とは会議での発表が認められた者が、書くことが求められる(任意の場合もある)1〜4ページ程度の ドキュメントで、発表の前または後で提出し、通常査読なしで、オンラインまたは刊行物として出版される。
これら3者をみな満足させる予稿を書くことは、もちろん容易ではない。なので、第1にオーガナイザーのために予稿を書き、次に参加者にも配慮する。ただし、主催側による発表の選抜がない場合は2, 3番目の読者を優先する。
よい予稿は以下の特徴を持っている。
予稿はまず、会議が要求する仕様(字数制限等)をみたさなければならない。
その上で予稿には以下の内容が書かれていることが望ましい。
なお、結果をひとつも示すことなく、「結果について議論する」などと書いてはならない。
予稿を書くときは、直接オンラインの応募フォームで書いてはならない。コピペせよ。