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文章の編み方

書き方の戦術

単語の戦術

意味の多い/曖昧な語よりも、意味が正確で単一な語を使う
科学英語で重要
長い語よりも短く簡潔な語を使う
技術英語で重要
抽象的な表現よりも具体的な表現を使う
意味が重複してる、意味のない強調の不要な語を省く
否定形(do not 〜) よりも 否定語 (un-〜など)を用いる
動作を表す語の名詞形は避け、動詞を用いる

文の戦術

ひとかたまりの内容を名詞句/節で表現する
A that … や what … を用いる。動名詞、不定詞で表現する。
一つの文に二つ以上の趣旨を詰め込まない
枝葉末節は後続の文で述べる
可能なら無生物主語を用いる
主と従の関係を意識する
事実・結果と意見・考察とをはっきりと区別する
出来るだけ能動態で
短い文書を心がける
ピリオド、コロン、セミコロンで文章は切れる。
SVOではっきり書く
「察してくれる」ことを期待しないで「はっきり」書く
文の主語は、その文の話題の中心単語にする
適切な時制
基本は現在形。終わったことは過去形。終わってるけど、今もそれについて考えてることは現在完了形。
現在形: 科学的真理
  • 一般的事実 (不変の真理と思われてるもの)
  • 文中での図表・データの説明
  • 数式、実験装置の説明、操作手順
  • 自分の研究結果から得られた結論、解釈、仮説
過去形: 研究のために手を動かしたこと(実験・数値計算など)
  • 実験方法、材料、器具の記述
  • 先行研究の成果に関する記述(不変の真理になったものは除く)
現在完了形: 過去に行われたけど、本研究に強く関連すること。
  • 先行研究のうち、本研究に強く関連する研究は現在完了で紹介する。
Conclusions/Summary での時制
  • これまでの節で述べた「自分の研究の中で行われたこと」を述べるときは、現在完了。
  • 研究のなかで行ったことの「結果・真理」は現在形。
  • これまでの節で過去形で述べたことは、そのまま過去形。

段落の戦術

段落は「導入」「本体」「まとめ」からなる
ただし、論文などの多くの段落からなる文章の段落には「まとめ」文がないこともある。
「導入」= topic sentence
「本体」= supporting sentences
「まとめ」= concluding sentence

文章の戦術

「階段を一歩一歩昇る」技法
直前に/既に 何を 論証したのか/示したのか を確認して、次に何が必要なのか示す形をとる。
「道しるべ」の技法
既に述べたこと、後で述べることに言及して、前後の論理的関係を明らかにする。
「串団子」の技法
いくつかの項目をひとまとめにした上で順に取り上げる。
論述を意義づける
これから述べることがなぜ必要なのか、先に宣言しておく。
無関係な論点を排除する
重要でない、不必要な論点は、陽にその論点について検討しないことを述べておく。
話の本筋からそれるときは、それを明言する

接続詞

接続詞の定義

独立した先行文脈の内容を受けなおし、後続文脈の展開の方向性を示す表現

接続詞の役割

接続表現の機能分類表

論理の接続詞

原因–結果の因果関係、条件関係を前提とした論理的展開を予告する接続詞

順接

条件関係に従った帰結を予告する

だから、ゆえに

条件が確定したもの。原因–結果の橋渡しの役割。読み手の前提知識・常識にそった帰結。読み手の前提知識・常識に依存する。

▼ Therefore, …
▼ As a/the result (of …) …
▼ The result (of …) is that …
▼ Consequently, …
▼ in consequence
▼ Accordingly
▼ hence: 論理的で自然な脈絡
▼ thereby
▼ …, so that …
▼ (and) thus…
▼ That is the reason why …
▼ For this/that reason …
▼ For the reasons stated/mentioned above
▼ Because of A, …: A は理由を生み出すもの
▼ owing to
▼ 因果関係を表す動詞:
「引き起こす、もたらす」bring, cause, entail, have, lead, make, provide, result in
「作り出す」create, make, produce, yield
「ある結果を可能にする、うながす」allow, enable, help, leave, let, offer, serve
その他 change, increase, decrease, reduce, surprise

それなら、それならば

条件が仮定のもの。仮定をもとに結果を考える。

▼ If so, …
▼ In that case …
▼ If …, …
▼ If we assume/suppose/accept …
▼ Let us assume/suppose …
▼ assuming…
▼ Suppose…
▼ We assume…
▼ Given that…
▼ Imagine …
▼ provided (that) …
▼ even if …
▼ … only if …
▼ on condition that …
▼ … depend on …

逆接

条件関係に反した帰結を予告する。

しかし

「だから」系の逆。

▼ but …
▼ however, …
▼ on the contrary, …: 全く反対の内容
▼ nevertheless …: 直前の内容に反すること

ではあるが

譲歩を表す。

▼ although
▼ though
▼ even though
▼ While…: 文頭の場合
▼ Indeed …, but …
▼ It is true (that)…, but…
▼ in spite of that
▼ despite

ところが

強い意外感をもたらす。読み手の想定外の展開を予告する。

整理の接続詞

ある話題について同レベルにある事柄を対等に並べて示す接続詞。箇条書きを文章化したもの。

並列

共通点・類似点のある事柄を並べる。

そして、また

添加の接続詞。

「そして」には最後にひとつ重要な情報を付け加える役割がある。
「それから」「また」は and に近い。

▼ A and B : AとBは質的に同格のもの。
▼ both A and B
▼ similarly
▼ likewise

それに、そのうえ

累加の接続詞。ダメを押す。

「しかも」は同じ事柄を別の側面から突っ込むという役割がある。

▼ Furthermore, …
▼ Moreover, …
▼ In addition (to …) …
▼ a/one further …
▼ other …
▼ another …

かつ、および

厳めしい顔つきで論理づけ。

「AかつB」はAとBが同時に満たされる。 「Aならびに/およびB」はAとBが同時に満たされる必要はない。

▼ A and B

対比

相違点・対立点のある事柄を並べる。

一方、それに対して

二つの物事の相違点に注目。

「反対に」「反面」「逆に」は先行文脈の反対の内容がつづく。[強い制約]
「それに対して」対になっている必要がある。
「一方」対になってなくてもよい。

▼ on the one hand, … on the other hand …: 同じ主題にたいして、異なる見方を示す
▼ …, whereas …
▼ while
▼ unlike
▼ but
▼ Instead of
▼ by/in contrast 同種のものの対比
▼ by/in contrast to
▼ … contrast with …
▼ Conversely
▼ oppositely

または、もしくは

複数の選択肢を示す。

「または、もしくは、ないしは」二つの中からの選択。二者択一。
「あるいは」三者以上の中からの選択。表現されたもの以外の選択肢も含意。

▼ or

列挙

共通点・類似点のある事柄を順序・番号をつけて並べる。列挙を始めるまえに、「列挙を始めることを宣言」する必要がある。

第一に

文章の中の箇条書き。列挙される項目に時間的順序性のないもの。各項目が交換可能。

▼ A, B, and C
▼ (the) first, (the) second
▼ the last
▼ the former/latter
▼ one, another, still/yet another
▼ next

最初に

列挙される項目に時間的順序性または順位が存在。

▼ at first
▼ initially
▼ then
▼ later on
▼ finally
▼ in the end
▼ eventually

まず

列挙される項目に時間的順序性があってもなくてもよい。

理解の接続詞

先行文脈では理解しきれない内容を、後続文脈でわかりやすく示すことを予告する接続詞。

換言

先行表現をわかりやすく端的に言い換えることを予告する。推敲してもなお、二つの表現を残す必要があることを確認するべき。

つまり、すなわち

言い換えを正面からおこなう。端的な言い換えで切れ味をだす。

「言い換えると、換言すると」文字通りの言い換え。
「いわば、いってみれば」例えて言えば。比喩的・象徴的な表現に言い換え。
「すなわち」イコールの意。客観的な言い換え。
「つまり」わかりやすい表現に言い換え。たいてい短くなる。
「ようするに」核心・要点に重きをおいた言い換え。

▼ In other words, …
▼ …, that is …
▼ …, or …
▼ The point is that …
▼ What is important in … is that… ▼ namely: すでに(曖昧または間接的に)述べたものを名指ししたり、具体的にしたり、同じものであることを述べる。

むしろ

先行表現を一旦否定しておいて、よりよい表現を示す。側面からの言い換え。否定することで表現をしぼる。

「むしろ、かえって」一見常識的・直観的な内容を否定して、じつは常識・直観に反した内容のほうが妥当だということを示す。必ず根拠とセットで用いる。
「かわりに、そのかわり」代わりのもので埋め合わせる。
「いな、そうではなくて」既に言った内容を否定して、修正の内容を続ける。

▼ In fact, …
▼ Indeed, …

例示

先行文脈が理解出来るように具体的な例を示すことを予告する。

たとえば

現実にあり得そうな具体例。抽象と具体の往還を助ける。

「具体的には」具体例が一つに(またはこれから挙げるもの)限られる場合。
「たとえば」書き手の判断が入らない確定した内容。
「事実、実際」事実によって論拠を示す。

▼ an example of … is …
▼ for instance
▼ … such as …
▼ … like …
▼ Consider …
▼ namely

とくに

とくによく当てはまりそうな例。特別な例で読者を惹き付ける。典型的な例。

▼ for example, …
▼ especially
▼ particularly
▼ in particular

補足

先行文脈で不足していた理由や条件を補うことを予告する。

なぜなら

理由を補足する。日本語では使わないほうが洗練した文章になる。ただし、英語では結果–原因の順で述べることが普通である。

▼ … because …
▼ The cause of … is …
▼ What makes … is …
▼ The reason for A is
▼ The reason why … is …
▼ Since :読み手もすでにわかっているだろうと思われることを理由として持ち出すときに使う.
▼ This is caused by

ただし

関連した不足情報を補う。限定を加える。例外を示す。

「ただし」先行文脈の成立を保証するために必要な条件を補う。
「もっとも」先行文脈に対する注意。
「なお」本筋から外れるけれども必要な情報。
「ちなみに」直接関係はないが読者の興味を引きそうな情報。

▼ Here, …
▼ …, where …
▼ as long as …
▼ incidentally
▼ alternatively
▼ aside/apart from: 例外は重要でないという意味合い
▼ excepting: 例外を別にすれば成り立つという積極的な主張。
▼ except for: 例外の存在を強調
▼ It is noteworthy/notable that
▼ Note that

展開の接続詞

話の本筋を切り替えたり、まとめたりする接続詞。文章の全体構造に関わる大きな接続。

転換

話の大きな切れ目を示し、その後の展開がどうなるかを予告する。

さて

別の話題を持ち込むことを予告する。周到な準備のもとにさりげなく使われる。

「さて」書き手が準備していた話題に持ち込む。 「ところで」自由な連想に基づく転換。

では

話の核心に入ることを予告する。

結論

それまでの話をまとめ、最終的にどのような結論になるかを予告する。

このように

それまでの内容をふまえて結論を導くことを予告する。すなおに文章をまとめる。総括。

▼ in conclusion
▼ as a conclusion
▼ to conclude
▼ finally
▼ to sum up
▼ in sum
▼ in summary

とにかく

多様な議論に(強引に)とりあえず決着をつけて結論を出す。論理性に欠ける表現。

「いずれにしても」はAであってもBであっても同じ結論にたどりつく場合は、論理性が高い。

▼ anyhow
▼ at any rate

参考文献一覧


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