名詞 (Nouns)
名詞の最も大きな分類は「固有名詞」と「共通名詞」(いわゆる普通の名詞)である。
共通名詞は「可算/不可算」と「具象/抽象」の分類がある。
具象-可算名詞はさらに「個体/集合」の分類がある。
不可算名詞は複数形にならず、限定されなければ the がつかない
なお名詞を「普通・集合・固有・物質・抽象」の5つに分類するのは日本の学校文法教育独自の分類で、ことばの意味に基づく分類であって、文法的な分類とは異なる。
具象-可算-個体名詞 = 普通名詞
一定の形や区切りがあって、数えられるものに付けた名称で、同じ種類の物に共通して適用出来るもの。
具象-可算-集合名詞 = 人や生物の集合名詞
人や生物の集合体を表す名称。
-
単数にも複数にも扱うもの —単複は文脈で使い分ける.
audience(聴衆), cabinet(閣僚), class(クラス), club(クラブ), committee(委員会), company(会社), crew(乗組員), crowd(群衆), family(家族), generation(世代), government(政府), jury(陪審員), public(大衆), staff(職員), team(チーム)
- 常に複数扱いするもの —a, anはつかず、複数形もない。theをつけると集合全体か特定の物をさす。
cattle(牧畜牛), clergy(聖職者), people(人々), police(警察), poultry(家禽)
具象-不可算名詞 = 事物の集合名詞 and 物質名詞
「事物(非生物)」の集合体を表す名称。—clothing, furniture, machinery, mailなど
物質に付けた名称。
-
総称用法:「〜というもの」無冠詞で用いる。
- 不定量の物質名詞: some, any, much, (a) little, a lot of などを前につける。
- 特定の物質名詞: the や this, thatなどの指示代名詞、my, hisなどの所有格の人称代名詞をつける。
抽象-不可算名詞 = 大部分の抽象名詞
概念や感情、過程あるいは行為などの形のない抽象的な意味を表す名詞。無冠詞単数形で用いられることが極めて多い。
性質・状態や心的状態・出来事や行為。
-
some, much などで量や程度の多少を表す。
- of + 名詞, 関係詞などで限定されると the がつく
- 形容詞 + 抽象名詞の形で具体性を持たせた場合、可算名詞化してa, an をつける場合が多い。
ただし、形容詞がついても可算名詞にならない純然たる抽象名詞も存在する。
advice, applause, conduct, damage, equipment, fun, harm, homework, information, luck, news, progress, weather, work など。
- 具体的な行為や事柄などの意味で可算名詞化するものも多い。
抽象-可算名詞 = ごく一部の抽象名詞
difficulty (難事) のようなごく一部の抽象名詞.
注意すべきこと
可算/不可算は書き手(文脈)がイメージしていることに左右されうる。
例えば、物理概念としての temperature (気温)は不可算だが、様々な気温の値を指してtemperaturesなどと可算名詞として扱うこともある。
また、可算/不可算に加え、theがつく場合でそれぞれ、意味が異なる語もある。
the atmosphere —地球の大気
atmospheres —地球以外の天体の大気
atmosphere —雰囲気(という概念)
複合名詞
全体でひとつの名詞の役割を果たすもの。
1語になったもの
bookcaseなど
ハイフン( - )でつないだものも1語として数えるが、最近はハイフンでつなげる名詞-名詞は少ない。
2語の複合名詞
前の名詞が後ろの名詞を修飾する形容詞的な役割をはたす。前の名詞は単数形で記す(常に複数形の名詞は除く)。
3語以上の名詞を並べた複合名詞は好ましくなく、 space-age technology のように形容詞的な役割をはたす語をハイフンでつなぐ方が望ましい。
名詞の単複
単複の使いわけ
-
no, zero に続く名詞は複数形
- 1.01, 0.5など1以外の数に続く単位をあらわす名詞は複数形
- eachに続く名詞は単数形
- 主語が複数の場合、それぞれがいくつ(単数か複数か)を明確にするために、eachを使うべき。
注意すべき複数形の作り方
-
文字や記号の複数形は -’s または -s
- ピリオドのある略語の複数形は -’s. ピリオドがない場合は -s.
所有格
所有格の作り方
-
単数名詞には -’s.
- 複数名詞には -’. ただしsで終わらない複数名詞は -’s.
- sでおわる固有名詞には -’s, -’ どちらでも可。
- 2者あるいはそれ以上の共同所有物は最後に -’s: Smith and White’s office
- 2者あるいはそれ以上がそれぞれ所有している場合は、全てに-’sをつける: Smith’s and White’s wives
所有格と of + 名詞
意味上も文法上も同じだが、以下の傾向で選択される。
-
国名・地名, 時間・距離・重量・価格, 人間活動に関わる表現には -’s が好まれる。
- -’s のほうが簡潔な場合は -’s
- A’s B だと B に重点が置かれ、B of A だと A に重点が置かれる(重要な情報である)。
- 語数の多い方を後に置く
NASAの本によると、無生物名詞の所有格には -’s も of も使わず、名詞+名詞の2語複合名詞で表すのがよいらしい.
注意点
日本語の「〜の・・」が「-’s 」や「 of 」で表現できるとは限らない。
冠詞 (Articles)
不定冠詞 (a, an)
不定冠詞 a, an は、one(1つの)から出来た語で、不特定のものを指し、原則として可算名詞の単数形につく。
主な用法
-
不特定、単数の可算名詞であることを表す
- 初めて話題に上がる可算名詞を導入する
- 「1つ」であることを表す—oneで置き換えられる
- 「ある」の意味を表す—a certainで置き換えられる(one of many)
- 「いくらかの」の意味を表す—someで置き換えられる, at a distance
- 「〜につき」の意味を表す—perで置き換えられる
- 「〜というのはどれでも」総称用法: 不特定の1つを想定して、それを代表例として取り上げ、その種類一般のもつ特有の性質を述べる。ただし全体を一括して述べる場合には用いない —anyと似た意味
- 序数詞の前につけて、anotherの意味—a second opinion
an は発音が母音で始まる語の前に着く。頭文字からなる略語でも同じ。—an SOS(エスオーエス), a NASA(ナサ)
無冠詞の単数形名詞は必然的に不可算名詞であり材料などを表す物質名詞になる。
定冠詞 (the)
定冠詞 the は, thatからきたもので, 特定のものを指す。
主な用法
-
既出の名詞につける。ただし既出だが、ただ1つでない場合はthis, thatを使うなどする。
- 文脈やその場の状況から、(誰にでも)それと分かる名詞につける。
- 修飾語句がついて特定の1つのものに限定されている名詞につける。(the only and one)
-
of + 名詞、関係詞節がつく場合
- only, first, last などの形容詞や最上級がつく場合
ただし、同種のものが他にある場合はa, anをつける - the X theory ならば Xはその理論のための仮定や条件、または作った人の名前.
X theory ならば Xはその理論が表す題目 - ただ1つしかないものにつける —the north, the moon
ただし, 惑星名(Venusなど)は無冠詞。これはVenusなどはその惑星の固有名詞だから。—参考
theを付ける固有名詞
-
固有名詞がもともと複数形の場合—the Alps、the United States
- A of Bの形をちる固有名詞 —the Gulf of Mexico
- 固有名詞+普通名詞, あるいは普通名詞が省略されているもの
- 海・川・運河
- 海峡・半島・砂漠
- 公共建築物 —the British Museum
- 船舶・列車
- 新聞・雑誌
theを付けない固有名詞
-
普通名詞を含まないもの(人名、天体、国名、大陸、都市名など)
- 山、湖、島、岬
- 建物、施設 —慣習的な例外
冠詞相当語
次の語は冠詞に相当する語であり、同時に冠詞は使わない。
-
指示名詞: this, that, these, those
- 不定代名詞: some, any, no, every, each, another, either, neither
- 人称名詞の所有格: my, your, his, her, its, our, their
- 疑問代名詞: whose, which
- 数詞: one two, three, ... など (数詞の前に定冠詞をつけることはある. —the three pigs)
- 固有名詞の所有格: Jack’s, ... など (普通名詞の所有格には冠詞を付ける. —The man’s wife)
2つ以上の名詞が and や or で結ばれている場合
-
同一物(人)を指すときは最初にだけ付ける—He was a scholar and explorer. There is a red and white flower.
- 別々の物(人)を指すとき、それぞれに付ける —There are a red and a white flower
- 2つで1組になっている物は、最初にだけ付ける —a cup and saucer
誤解の恐れがなければ、一般に最初の名詞にだけつければよい。
無冠詞・冠詞の省略
多くは慣習によって無冠詞化した。
-
官職・身分などを表す名詞
- 建造物や場所を表す名詞
- by + 交通・通信手段を表す名詞
- 食事を表す名詞
- 慣用表現
- 新聞の見出しなど
記号リスト・図のキャプション・タイトルでは冠詞を省略する場合がある.
接続詞 (Conjunctions)
語と語、句と句、節と節などを結びつける語。
接続詞の種類
-
等位接続詞
- 文法上対等の関係にある語と語、句と句、節と節などを結びつける接続詞。and, but, or など。
- 従位接続詞
- 主節と従位節を結びつける接続詞。従位節には名詞節と副詞節がある。
- 接続副詞
- however, soなど、接続詞的な機能をはたす副詞。(文法上は副詞だが、ここで「接続詞」といったときんは接続副詞も含める。)
等位接続詞
and
連結を示す。
-
「AとB」「A, そしてB」
- 「〜してそれから…する」(動作順)「〜すると…する」(因果関係をほのめかす。becauseやsinceほど言い切れない)
- 「〜すれば…」(命令文+and), (名詞+and)
- 「AとBの一組」AとBが合体してひとつのものや概念を表す。単数扱いになる: cup and saucer
- 連続や多様さを表して、意味を強める: louder and louder
nor
both A and B
not only A but (also) B
-
「AもBも〜ない」主語になる場合、動詞の単複はBに合わせる。
neither A nor B
but
反意・対立を示す。口語以外では文頭では用いない。
-
「だが、しかし」
- 「〜ですが…」
- 「AではなくてB」not A but B
- 「なるほど〜だが…」It is true 〜, but …
or
選択を示す。
-
「〜かそれとも…」
- 「すなわち」
- 「さもないと」(命令文+or), (名詞+or)
- 「AかBかのどちらか」either A or B
接続副詞
節と節との間にはセミコロンを置くのが正式。
besides, also, moreover
この順で堅い言い方になる。
then
however
nevertheless
still, yet
else, otherwise
so, therefore, consequently, hence
that is (to say), namely
for instance, for example
従位接続詞
名詞節を導く接続詞
that
-
「〜が…する/であるということ」
-
that節が主語になる
- that節が補語になる
- that節が目的語になる
- that節が前置詞の目的語になる: except that 〜, in that 〜
- that節が同格節を導く
whether, if
-
「〜かどうか」
-
他動詞の目的語となる節で
- 主語となる節 (whetherのみ)
- 補語となる節 (whetherのみ)
- 前置詞に続く節 (whetherのみ)
- 同格節を導く (whetherのみ)
- whether or not または whether/if … or not.
lest, but that
-
「〜しはしないかと」
- 「〜ではないということ」
- 「確実であることを強調する」There is no doubt but that …
時・場所の副詞節を導く接続詞
when
-
「〜するときに」
- 「〜したらその時…」主節の後におく
whenever
while
-
「〜している間に(は)」このときのwhile節には進行形か状態動詞が使われる
as
before
after
till, until
by the time (that)
since
-
「〜して以来」この意味のsince節には過去形、主節には現在完了か過去完了を用いる
as soon as, no sooner 〜 than, hardly/scarcely 〜 when
directly, immediately
once
every time, each time
where
原因・理由の副詞節を導く接続詞
because, since, as
-
because: 原因や理由を新たな情報として明確に述べるための接続詞。
原因・理由を述べることが主な目的の場合はbecause節をあとに、その結果を述べるのは主な目的ならばbecause節は前に持ってくる。
- since: 読み手もすでにわかっているだろうと思われることを理由として持ち出すときに使う。Since節を前に置くことがおおい。
- as: becauseやsinceよりも改まった感じが強い。時を表す場合と混同されやすい。
目的・結果の副詞節を導く接続詞
so that, in order that
-
「Sが〜するように」so that S can/will/could/might/would 〜
- 「Sが〜できるように」in order that S may 〜
in case
for fear (that), lest
so 〜 that …
-
「…するほど〜である」
- 「非常に〜なので…」〜には形容詞か副詞を置く
such 〜 that …
-
「あまりにも〜なので、…である」
- 「…するほど〜である」〜には形容詞+名詞を置く
… so that, 〜
条件・譲歩をの副詞節を導く接続詞
unless
in case
but that
suppose, supposing
provided (that), providing (that)
granted (that), granting (that)
as long as, so long as
although, though
形容詞/副詞+ as + S + V
if, even if, even though
when, while, whereas
whether 〜 or …
No matter + 疑問詞
副詞節を導くその他の接続詞
as
as if, as though
as
according as 〜
as/so far as 〜
as long as, so long as
except (that)
倒置
狭義には主語と動詞の順が逆になることを倒置というが、ここでは、語順が基本文形と異なるものすべてのことを指す。
文法上、倒置する構文
-
疑問文
- There is ... 構文
- 直接話法の伝達部で: “Aren’t you feeling well?” asked the doctor. (ただし必ずしも倒置しなくてもよい)
- 否定語句 (neither, nor, hardlyなど)やso, only が文頭にくるとき: “I’m tired.” “So am I.”
- 仮定法の動詞が were, had, should であり if を省略する場合: Should the ice in Antractica melt completely, the word’s oceans could be expected to rise by about 60 meters.
強調や文のバランスを整えるための倒置
-
SVC → CVS
-
The children who managed to leave the country are lucky.
→ Lucky are the children who managed to leave the country.
ただし、主語が代名詞の場合は CSV の順にすることが多い。
They are luckey. → Lucky they are.
- SVO → OSV
-
I would never believe that sort of story.
→ That sort of story I would never believe.
ただし、目的語に否定語がつくと、OVS の順になる。
Not one of these paintings would I ever wish to buy.
- 進行形の倒置
-
A stream whose water is so clear that one can see the shape and color of every stone on the bottom is running through the field.
→ Running through the field is a stream whose water is so clear that one can see the shape and color of every stone on the bottom.
- 受動態の倒置
-
A new law that forbids employers to reduce their employees’ wages on the basis of their health problem is required.
→Required is a new law that forbids employers to reduce their employees’ wages on the basis of their health problem.
- SVOC → SVCO
-
I’ve named the new machine developed by the group of scientist who have been trying to build a robot with artificial intelligence Betty.
→ I’ve named Betty the new machine developed by the group of scientist who have been trying to build a robot with artificial intelligence.
- 使役動詞 SVO+do → SV+do+O
-
I failed to make the new machine developed by the group of scientist who have been trying to build a robot with artificial intelligence run.
→ I failed to make run the new machine developed by the group of scientist who have been trying to build a robot with artificial intelligence.
参考文献一覧