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ブジネスク近似

海洋の密度は温度, 塩分, 圧力に依存する. 0bar (0m) において 35 psu[2], 25Cの海水の密度は 1023.343 ${\rm kg/m^3}$, 600bar (約 6000m) において 35 psu, 2Cの海水の密度は 1054.481 ${\rm kg/m^3}$, であることから, 海水の密度はせいぜい 5% 程度しか変化しない. そこで (2) 式において密度 $\rho$ $\rho=\rho_0 +
\rho'(x,y,r,t)$ とする(ただし $\rho_0 \gg \rho'$).

 \begin{displaymath}
\rho_0\Ddiv{\Dvect{u}} + \rho'\Ddiv{\Dvect{u}}
+ \DD{\rho'}{t} = 0
\end{displaymath} (3)

海洋の運動において, 密度の時間および空間変化は一般に速度場の空間変化に比 べてはるかに小さいことが知られている. これは (3) 式第 3 項は第 2 項とほぼ同程度の大きさとなる. 第 1 項に比べると第 2 項ははるかに小さい ので, 結局質量保存式は次のようになる.

 \begin{displaymath}
\Ddiv{\Dvect{u}} = 0
\end{displaymath} (4)

同様に運動方程式 (1) においても $\rho$$\rho_0$ におきかえる. ただし, 鉛直方向の運動方程式については重力加速度項のみ $\rho'$ を残す. これは浮力として働く重要な項だからである. 以上の近似を「ブジネスク近似」 と言う.



Takashi Kagimoto
1998-09-03