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: 4.1 Achterberg and Ingersoll : 雲密度・静的安定度の計算方法 : 3.5 多数の凝縮成分を考慮した場合の木星大気の静的安定度

4 従来の論文との比較

従来の論文では, そもそも気塊に含まれる凝縮成分は少ないと仮定し, 気塊には乾燥成分しか含まれないが, 周囲の大気には乾燥成分と凝縮成分が 存在するような系を考えてきた. 本節では従来の論文に従って,

と仮定した場合について静的安定度の定式化を行い, 従来の論文中の式の導出を 行う.

気塊と大気の分子量が異なるため, $M = M^{*}$ を仮定していない (7) 式から考察を始める必要がある. $M^{*} = M_{d}$ を (7) 式に代入すると,

$\displaystyle N^{2} =
\frac{g}{T}
\left(
\DD{T}{z} + \frac{M g}{{c_{p}}_{d}}
\right)
-
g
\left(
\Dinv{M} \DD{M}{z}
\right).$     (55)

となる. この式を (10) 式と比較すると, 気塊の分子量の部分だけ異なっている. さらに大気の分子量 $M = (1 - rX^{sat}) M_{d} + rX^{sat} M_{v}$ を代入すると,
$\displaystyle N^{2}
=
\frac{g}{T}
\left(
\DD{T}{z} + \frac{M g}{{c_{p}}_{d}}
\right)
-
g \left(
\frac{r (M_{v} - M_{d})}{M} \DD{X^{sat}}{z}
\right)$     (56)

となる. また, (55) 式を仮温度 $T_{v} = M_{d} T/ M $ を用いて表現すると,
$\displaystyle N^{2} =
\frac{g}{T_{v}}
\left(
\DD{T_{v}}{z} + \frac{M_{d} g}{{c_{p}}_{d}}
\right)$     (57)

となる.




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SUGIYAMA Ko-ichiro 平成17年8月21日